菅田将暉インタビュー「自分にとって音楽は<やり残したもの>という感覚がある」

最新シングル「ロングホープ・フィリア」をリリースする菅田将暉



ー様々なタイミングが合い、今回それが音楽として形になった、ということでもあるかもしれませんね。たとえば洋服作りも菅田さんはされますが、そういったことでも今後、何か伝えようとは思いますか?

菅田:確かに、服作りについては「ブランド作らないんですか?」とか言われること、あります。でも「いやいや! 簡単に言わないで!」とも思ってしまう(笑)。ブランドをつくったらきちんと売ってかなきゃいけないし、僕が立ち会えない場が多くなったら、今度は人を雇わなきゃいけなくもなる。そもそも僕、自分が着ている服、他の人に着てほしくないですもん(笑)!

ーそういうことですか。実はそれが一番の理由かもしれないですね?

菅田:うん、そう。そもそも嫌なんです(笑)。あと服作りでいえば、実は自分が着るものは一切作っていなくて、たまに誰かにあげるためには作りますけど、一番は“作る工程”が好きなだけ。そう、一枚の布が服になっていく過程が面白いなと思っているだけなんですよ。

ー造形物を作っている瞬間自体に面白さを感じる、という意味?

菅田:そう。だって「怖くないですか?」って話なんですよ。ちょっと変な発言かもしれないですけど……みんな自分が着ている服の作り方って、あんまり分からないじゃないですか? それなのに、当たり前のように毎日、服を着ている。SNSとかだってそう。そもそも一体どういう仕組みで繋がっているのか、ちゃんとわかっている人、それ毎日使っている人のなかでどれだけいます?って。もちろん便利になるのはうれしいことなんだろうけど、なんか僕は、ちょっと怖いなって思っちゃうんです。もちろん人間は道具を発明して使う生き物なのだけど、そもそも使う意図とか意味みたいなものをちゃんと理解しないで、なんでもかんでも「便利だから」という理由だけで、全部がいつのまにか“慣れ”で進む。一方で、知らないうちにいろんなものが消えてもいくし、これって危ないなあとなんとなくずっと思い続けています。それは極端な話、たぶん震災の経験や記憶とかだって、そうなんだと思いますし。

ー便利さを慣れだけで享受することや、とても大きな衝撃だったはずのことですら知らないうちに忘れていくような流れに危機感がある、ということですね。

菅田:そう。やっぱり怖いですよ? 誰もがあまり動かなくてもバーチャルで会話ができカプセルでごはん食べられる、みたいな生活。それはそれで人間は今より長く生きられるかもしれないですけど……。でも、今は流されていると本当にそういう方向にどんどん向かっていく感じがするし。何か事件が起きてから騒いだって「それは、自分らが分かろうとしてなかったんだから!!」って言いたくもなるじゃないですか!……僕はいろいろ興味が湧いちゃうんです。“知りたい”という欲が強いのかもしれない。

ーなるほど。そういう手ごたえを取り戻すために、自分でいろんなものづくりをしてみる、という切実感がよく分かります。ちなみに中学・高校の頃は、音楽をほとんど聴かれていなかったと、別のところでお話しされていたのを読みました。これまで距離のあった音楽と近づこうと思えた理由やきっかけなどもお聞きしたく。

菅田:元をたどればほとんど音楽を追わなくなったのは自分の声変わりが原因です。それまで、自分なりに気持ち良く歌えていた女性歌手の方の歌とかもことごとく歌えなくなり「自分が歌えないなら聴かない!」っていう……なんでそんな傲慢な気持ちになったかは知らないですけど(笑)。カラオケが好きだったんですよね。家族で歌う機会も多かったですし。そんななか、ある日突然に自分の声が低くなるっていう経験は、思春期の少年にとってみれば結構なショックでした。今まで気持ち良く遊んでいたもので急に遊べなくなるって、子どもにとっては大事件ですから!

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