―ヴォーカルのレッスンも特に受けてないんですか?モーゼス:うん、一切受けてないよ。
―それにしては、すごく高い音域まで声が出ますよね。モーゼス:さぁね、あくまで独学だからさ。いろんなやり方を試しているし、もっとうまく歌えるようになりたいから日々練習しているよ。
―(『アロマンティシズム』に参加している)サンダーキャットにインタビューした時も同じことを言ってました。歌のレッスンは受けたことがなくて、自分で練習してるだけだって。モーゼス:ハハハ、やっぱり彼はクレイジーだね(笑)。
Photo by Kazumichi Kokei―でも、あなたのコーラスは物凄く綺麗だし、ハーモニーも豊かですよね。それも独学ですか?モーゼス:ハーモニーとは何かを学んだのはクワイアでの経験だね。そこでいろんな曲を歌いながら学ぶことができたのはある。あとは独学だけど、大学の頃は僕の周りに、僕よりも音楽に詳しい人がたくさんいたからね。ジャズのプログラムを受けてるジャズキッズたちが、隣で「7thコードが……」とか話してるのをふむふむと聞きながら、家に帰って調べたりしてたよ(笑)。
―独学で培ったものを、自らトライ&エラーを繰り返しながら発展させてきたと。モーゼス:そう、試行錯誤と練習の賜物だね。
―あなたのプロフィールを調べようとググったら「UCLA」とあったので(※)、てっきりきちんとジャズやクラシックの教育を受けた人なのかと。※カリフォルニア大学ロサンゼルス校:ジョン・ケージなどの現代音楽家やランディ・ニューマン、スパークスのメイル兄弟、元ソニック・ユースのキム・ゴードン、カマシ・ワシントンなどを輩出している。モーゼス:いやー、全然。僕が学んだのは文学、ポエトリーだね。
―ポエトリーの経験はどう活きてる?モーゼス:ポエトリーについては、分析することよりも書くことを学んだんだ。今はこうして歌詞を書いているから、リリシストとして決して無駄ではなかったと思うよ。ただあくまで、学んだことは学んだことって感じかな。役には立ってるんだろうなって感じることも時々あるけどね。