英米チャートが新方針を発表、無料ユーザーのストリーミング再生は反映されるべきか?

スペインとイタリア、そしてフランスにおいては、無料ユーザーのアクティビティはチャートに一切反映されていない。イギリスの業界関係者の中には同様の方針を採用すべきだという声もあったものの、クレジットカードを持つことができない子供たちや、低収入のリスナーたちが合法的に音楽を楽しむ手段である、広告機能付きの無料ストリーミングの意義は大きいとして、タルボットはそういったユーザーのアクティビティはカウントされるべきだと主張する。

その他の変更点として、UKチャートは不正な方法でアーティストが注目を集める事態を回避する目的で、同一ユーザーが24時間以内に同じ曲を繰り返し再生した場合、10回目以降はカウントされないことを定めた。さらに今後は、ミュージックビデオの再生回数およびダウンロード数がチャートに反映されることになる。

こうした組織の方針変更は、ストリーミングが中心の現代において指摘されている、チャートの不確実性と脆弱さを解消するためのものだ。昨年、ポップスターのハリー・スタイルズのチャートアクションを押し上げる目的で、一部のファンが偽のVPNを設定し、実際とは異なる場所でその楽曲が再生されているように見せかけるという事態が発生した。またストリーミング回数とダウンロード数のコンバート方法については、未だ決定的な解決策を見出せずにいる。イギリスでは100回〜600回再生を1ダウンロード相当とする一方で、Billboardへのデータ提供を担うニールセン社は数千回の再生を1ダウンロードと見なすなど、世界共通の基準は未だ定まっていない。

現在はリスナーたちのアクティビティとその発生箇所によって、ナンバーワンのアーティストもしくは楽曲が決定されていると言える。

YouTubeを含め、無料ユーザーに対するBillboardの姿勢に異を唱える企業は少なくない。今年5月、YouTubeは独自の人気曲チャートを発足させた。「とどのつまり、Billboardはクレジットカードを所有する有料会員以外を無視しようとしている」YoutubeのHead of Label Relationsを担当するスティーヴン・ブライアンは本誌にそう語っている。

その一方でYouTubeは、業界におけるニーズと新たなチャート決定方法と足並みを揃える形で、先日サブスクリプション方式のYouTube Musicをローンチしている。

Translated by Masaaki Yoshida

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