ローリングストーン誌が選ぶ、2018年上半期ベストムービー・トップ10

『Disobedience(原題)』

レイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスは、恋に落ちて愛し合う2人の女性役で一世一代の演技を披露した(絡みのシーンはすでに話題騒然)。肉欲を超えて心を通い合わせる2人が属しているのは、同性愛など決して許されない厳格なユダヤ人コミュニティだから、話はややこしい。チリ出身のセバスチャン・レリオ監督は、不服従という人間の本能を深く見つめ、その根源にある情熱をえぐり出した。日本公開は未定。

『First Reformed(原題)』

ポール・シュレイダー監督の最高傑作は、信仰の危機がテーマ。イーサン・ホーク演じる教区司祭が自殺願望のある環境活動家のカウンセリングをするうちに、活動家の無気力感に影響される。唯一希望をもたらしてくれるのは、活動家の身重の妻(アマンダ・サイフリッド)だけ。厳しい現実の上に想像の翼を重ね合わせ、シュレイダー監督は長いキャリアの末に絶頂期を迎えた。日本公開は未定。

『Hereditary(原題)』

果たして悪意は遺伝するのだろうか? 今作が長編デビューとなるアリ・アスター監督は、型破りなホラー映画で核心に迫る問いを投げかける。オスカー確実のパフォーマンスでトニ・コレットが演じるのは、ミニチュア作家アニー・グラハム。長年気になっていた思いをコントロールしようとするが、結局は水の泡。彼女の夫(ガブリエル・バーン)と、マリファナ中毒の息子(アレックス・ウルフ)、内気な娘(ミリー・シャピロ)は、やがて最も恐ろしい悪魔が家の中を徘徊していることを知る。

『インクレディブル・ファミリー』

ブラッド・バード監督は、『Mr. インクレディブル』の続編を完成するまでに14年を費やした。待った甲斐があったというものだ。スーパーヒーローたちはいまだ公の活動を認められていない中、パー一家は変革を起こそうと画策。今回は、母親でイラスティガール(耳からうっとりさせてくれるホリー・ハンターが声を担当)が働きに出て、父親(グレイグ・T・ネルソン)が専業主夫として3人の子どもの世話をする。いかにも今どきらしい。悪役のスクリーン・スレイバーは怠け者の市民に向かって、スーパーヒーローを頼るのはやめて貯蓄に励めと説く。悪者ながら、なかなか的を得ているじゃないか?日本は、8月1日(水)より全国ロードショー。

Translated by Akiko Kato

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