音楽業界がR・ケリーをかばい続ける理由ーーセクハラ抗議運動活動家との戦い

コンサート業界の人間はこう語ってくれた。「今は#MeTooの時代だから、これから状況は変わって行くかもしれない。ただ彼は無罪を勝ち取ったんだ。それにコンサートにはチケットを買いたい人が買って来ている。誰も銃を頭に突きつけてR.ケリーのコンサートに来いって言っている訳じゃないんだ。」

#MuteRKelly の活動家達は、こういったなまぬるい意見に苛立ちを隠せない。#MuteRKellyムーヴメントを全米で推進するティーシャ・バーンズは、昨年のケリーのアトランタでのコンサートにおいても抗議活動を行い、ライブを企画し5400人収容の会場に4800人のファンを集めた、世界最大手のイベント運営会社であるライブ・ネイションの代表者にも面会を求めたが、「ライブ・ネイションに完全に無視されたわ。これは許容できない行為で、顔面に平手打ちを食らった気分だったわ」と語ってくれた。

ヒット曲を連発していた90年代後半の全盛期に比べると、明らかに人気が衰えたR・ケリーの過去2年のコンサートでも動員数にはムラがあり、ほぼチケットがソールドアウトになった先夏のデトロイトやアトランタのような会場もあれば、バルティモアやヴァージニア・ビーチのように会場の3分の1しか埋まらないような会場もあった。ポルスター社によると彼のウェブサイト上で今後予定されているライブの情報は無い。しかしながら先述のワインスタインやケヴィン・スペイシーを退けたハリウッドとは違い、未だに音楽業界の大手が彼とビジネスを続けている事は事実だ。ケリーと交際中に暴行を受けたシンガーのキティ・ジョーンスの代理人であるシェイ・ローソンはインタビュー内で「こういったセクハラ行為は音楽業界で蔓延しているわ。」「ドミノ倒しのように事実が明るみになるのを恐れているのよ。もし1人が追求されたらあと何個のドミノが倒れるのか?という事。」

わずかながらも#MuteRKelly運動に対してアクションを起こした会社も音楽業界内にも存在する。その1つはシカゴのイベント企画会社で、彼らが運営するコンサート『ラヴ・ジャム』のラインアップから彼を除名し、先月に予定されていたコンサート自体も最終的にキャンセルされた。(プロモーターへに問い合わせたが返信なし)さらに4月に英BBCにてケリーのドキュメンタリーが放映された後に、ケリーの弁護士、広報とアシスタントが彼の元を離れており、バーンズは「彼らは我々の圧力の感じている。」としている

#MuteRKellyに対する最も主要なリアクションとしては5月頭に配信大手のSpotifyがケリーの楽曲をプレイリストから削除したものだろう。「アーティストが、未成年に対する暴力や性的暴行といった人を傷つける憎むべき行為をした時は、我々はそのアーティストとのビジネスを考え直さなければいけない」。しかし同社はその発表の2週間後、早くもポリシーの見直しを迫られた。アーティストの行動に対して「我々は裁判官のようにアーティストをジャッジする事はできない。」と見解を変更している。

ある情報源によると、音楽業界内の数社がSpotify問題の議論において、アーティストの個人的な言動に対してSpotifyは干渉すべきではないと非難したようだ。しかしアクティビスト達は、この結果がケリーに対する告訴問題に蓋をする行為だと非難している。#MeToo運動のバーケ「多くのR・ケリーのファンは黒人女性、少女で我々はマーケットの一部であり購買層だ。業界はこの事実を肝に銘じるべきで、我々の意見を聞かなければいけない」としている。

Translated by Hiroshi Takakura

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE