ボブ・ディランとウィスキー :アルコールビジネスにハマるミュージシャンたち

1ショットに愛をこめて:ボブ・ディラン印のウィスキー 3つのフレイバーで登場

Heaven’s Doorという名のウィスキーで、ボブ・ディランがついに魅惑のアルコール業界に進出した。ラッパーからロッカーまで、今全米でブームとなっているセレブリティのアルコール業界参入を探る。

「まじかよ、ボブ・ディランがウィスキーやるってさ!」

大好きなアーティストの1人がアルコールビジネスに進出するという話を耳にして、酒造メーカー エンジェルス・エンヴィ・バーボンの共同創設者、マーク・ブシャラ氏は開口一番こう言った。「まさか夢にも思わなかった」と言うブシャラ氏は、ディラン氏の夢を叶えるサポート役を買って出て、オリジナルウィスキーHeaven‘s Door(ヘブンズ・ドア)を共同開発。ライ麦ベース、バーボン、ダブルバレル・ウィスキーの3種類を発売した。

お酒のブランドを持つミュージシャンはボブ・ディランだけではない。ラッパーから(ジェイ・Zやドレイク)ロッカー(サミー・ヘイガー)、カントリーシンガー(トビー・キース、フロリダ・ジョージア・ラインなど)に至るまで、ミュージシャンの間ではオリジナルブランドのお酒を開発するのがちょっとしたブームになっている。「セレブリティはアルコールビジネスを重視するようになりました。従来のファンにアピールするのはもちろんのこと、より幅広い層にアピールすることができるからです」と語るのは、ビームサントリーのPR・ソーシャルメディア部門シニアディレクターをつとめるダン・コーエン氏。「逆にいえば、アルコール業界がセレブの新規参入を認めたということでしょう。有名人は、自己表現の新たな方法を手に入れたのです」 中には、アルコールビジネスでかなり稼いでいるケースもある。ジェイ・Zはヒップホップ業界いちの稼ぎ頭だが、フォーブス誌は成功の理由として、彼が運営するシャンパーニュのArmand de Brignac(アルマン・ド・ブリニャック)とコニャックのD’usée(ドゥセ)の市場価値が上昇していることも要因のひとつに挙げている。ジョージ・クルーニーも、共同経営者と立ち上げたテキーラのブランドCasamigo(カサミーゴ)から何十億ドルもの収益を上げている。

ディランのウィスキー業界参入はかなり“うまい”タイミングだ。業界筋の話によれば、ウィスキーやブランデー、コニャックはここ数年“ブームになっている”という。しかしコーエン氏は、Heaven’s Doorのようなお酒は潜在的な顧客を得るためにヒネリが必要だという。「お酒とセレブリティが同じ価値観を共有していることが望ましいですね」 この点に関してはブシャラ氏も同意見で、Heaven’s Doorも「(ディランの)音楽の例に違わず」時間の経過とともに味が深まるのが特徴だ。「ボブを吟遊詩人になぞらえたんです」とブシャラ氏。「つねに変化していく存在――それが我々の販売戦略です」

サミー・ヘイガー(ヴァン・ヘイレン)とアダム・レヴィーン(マルーン5)
Santo Puro Mezquilla(サント・プーロ・メスキーラ)

価格:49~55ドル



メキシコでパーティをしていた時、ヘイガーとレヴィーンは「テキーラとメスカール、どっちが美味いか」という議論を始めた。結局2人は、両方ミックスすることにした。「こりゃいけるぞ、と思ったんだ」とヘイガー。彼は以前、テキーラブランドで総額9100万ドル(約100億円)の収入を上げた。「これを飲むと、普通のテキーラが物足りなくなった」

専門家のコメント:「昔ながらの友人のように、まろやかで滑らかな飲み口。虫が入っていないので、フレッシュ感が楽しめる」――OldTownTequila.com

Translated by Akiko Kato

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