ビヨンセとジェイ・Zのジョイントツアーが開幕、二人が示した真実の愛

今週水曜、イギリス・ウェールズのカーディフで幕を開けた「On the Run Tour II」 ビヨンセとジェイ・Zは王者の貫禄をアピール(Raven Varona/Parkwood/PictureGroup)

ポップ界最強カップル、ビヨンセとジェイ・Zのジョイントツアー「On The Run II」がイギリスで幕を開けた。ヒット曲満載&見ごたえたっぷりなコンサートで、夫婦そろって手をつなぎステージに登場し、王者の貫禄と夫婦の絆をあらためてアピールした。

「This. Is. Real. Life.(これが現実)」という文字が巨大スクリーンに投影されるとともに、ジェイ・Zとビヨンセの「On The Run II」ツアーがついに幕を開けた。

場所はウェールズのカーディフ、プリンシパリティ・スタジアム(旧ミレニアム・スタジアム)。ヒップホップ史上最初にして最強のカップルの人生に、一生ついて回る完璧な夫婦像のイメージをはぎ取るようなオープニングだ。ともすれば完璧に見えるライフタイルに隠された真実に光を当てた2枚のアルバム――裏切りをテーマにしたビヨンセのアルバム『レモネード』と、ジェイ・Zの悔恨アルバム『4:44』――の存在にも関わらず、結果的に「On the Run II」は、厳しい現実よりもおとぎ話に力点を置いたようだ。

現実が全く反映されていなかったと言うわけではない。2014年の初ジョイントツアー「On the Run」の時と同様、2人は過去のヒット曲をフル稼働してノンストップでパフォーマンス。思えば前回のジョイントコンサート以来、夫婦の間には酸いも甘いもいろいろなことがあった。双子の誕生もそのひとつだろう。コンサートが始まる前は、双子を思わせるホームビデオが流れた。夫婦の諍いは、ビヨンセのアカペラバージョン「ソーリー」、ジェイ・Zの「4.44」にも表れている。「俺が真実を語るのをやめると、お前らは止めるなというんだよな」と、ジェイ・Zは「ファミリー・フュード」の中で胸中を吐露。このような私生活の暴露が続く中、果たしてこれは2人の素の姿なのだろうか、と煙に巻かれたままコンサートは幕を閉じた。

だが肝心なのは、これがスタジアムコンサートだったということ。まさに壮大なスケールのショーだった。巨大なステージセット、スタジアムの端から端まで移動するフローティング・ステージに、筋骨たくましいダンサー軍団。ふだんはラグビーの試合が行われるこのスタジアムでは激しいタックルは日常茶飯事だが、この日の観客は90%が女性。みなコンサートにすっかり酔いしれていた。ともすればジョイントコンサートであることをすっかり忘れ、さながらコーチェラ・フェスティバルでのビヨンセのステージを再現したかのようだった。


水曜日、カーディフでパフォーマンスするビヨンセ(aven Varona/Parkwood/PictureGroup)

Translated by Akiko Kato

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