『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』アメリカでコケてしまった5つの仮説

Jonathan Olley /© Lucasfilm/ © Walt Disney Studios Motion Pictures


4. すべてのスピンオフがうまくいくとは限らない

映画業界がいまだ高い人気を誇る知的財産を最大限に活用することに注力し、リブート版やら続編やらがあふれる時代。唯一ハリウッドがいまだ達成できない領域があるとすれば、スピンオフだ。理由は明快、その名の通りスピンオフは生まれながらにして“オマケ”的存在、なくてもいい存在だからだ。スピンオフの映画作品はそこそこヒットするが、元ネタとなったオリジナル作品には及ばない。いい例が『スコーピオン・キング』で、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』ほどヒットしなかった。しかし時には、『死霊館』から生まれた『アナベル 死霊館の人形』のように、商業的に成功した作品もある。『ミニオンズ』にいたっては、元ネタ『怪盗グルーの月泥棒』をはるかにしのぎ、世界的ヒット作となった。とはいえ、スピンオフと言って思い浮かぶのは、『カーズ』というドル箱作品から安易に生まれた、たいして面白くもない『プレーンズ』のような作品だ。

ルーカス・フィルムはこれまで、スター・ウォーズのスピンオフ作品を2本製作している。かたや大ヒット、かたや大コケ、というのはどういうわけか? 今になって思えば、『ローグ・ワン』成功の背景には、『ハン・ソロ』には欠けていた2つの要因があったように思う。ひとつは、スター・ウォーズ本作のストーリーと密接にかかわっていたという点。もうひとつは、必然性があったという点。『ハン・ソロ』は、シリーズでも最も人気のキャラを題材にしてはいるものの、第1作『新たな希望』につながる『ローグ・ワン』は見逃せないと観客は判断した。かたや『ハン・ソロ』は、ハン・ソロの冒険談が次々繰り広げられるだけ。ルーカス・フィルムは、宇宙いちのならず者の魅力を過大評価していたようだ。『スター・ウォーズ・ストーリー』とうたい文句があろうとも、スピンオフそれ自体が見るに値する作品だと、観客を納得させなくてはならないのだ。

5.メモリアル・デイ効果は過去の遺産

『スター・ウォーズ』第1作が劇場公開されたのは、1977年のメモリアル・デイ。当時は、メモリアル・デイは必ずしもヒット作のスタートラインではなかった。『新たな希望』がこの常識を変え、その後メモリアル・デイを含む週末は夏の超大作シーズンの到来を告げるものとなった。変化が訪れたのは2002年、5月3日に公開された『スパイダーマン』から新たな法則が生まれ、大ヒットサマームービーの公開時期は5月に前倒しされるようになった(今年マーベルは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を4月末に公開し、さらに前倒しした)。

すなわち、かつては映画公開カレンダーの最重要日だったメモリアル・デイも、年がら年中映画が公開されるようになった今、その他主要公開日のひとつにしかすぎなくなったということ。だからといって、ルーカス・フィルムが『ハン・ソロ』の製作および宣伝時期の判断を誤ったことの言い訳にはならない。メモリアル・デイの魔法は近年、効力を失っている。メモリアル・デイの歴代興行成績を見てみると、1位は11年前に公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』。2位と3位はなんと、2008年の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』と2006年の『X-メン/ファイナル・デシジョン』にまで遡る。言い換えれば、メモリアル・デイが打ち出の小槌だった時代は10年以上も前なのだ。近年、メモリアル・デイは大して収益性が高いとも言えず、あえて言うなら、『ハン・ソロ』は2017年の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』や2016年の『X-メン/アポカリプス』、2015年の失敗作『トゥモローランド』をせいぜい上回る程度だった。

『ハン・ソロ』のいまひとつな滑り出しを反省しているルーカス・フィルムの人々には何の慰めにもならないだろうが、くしくも銀河系でもっとも知られるシリーズ作品が生まれた日と、シリーズ史上もっとも残念なオープニング興行成績だった作品の公開日が同じだとは、皮肉としか言いようがない。


『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、日本では6月29日(金)より全国公開する。


『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
2018年6月29日(金)より全国ロードショー
(C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
https://starwars.disney.co.jp/

Translated by Akiko Kato

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