米R&BプロデューサーたちがK-pop市場に活路を見出した理由

2017年ビルボードアワード授賞式でのBTS(Photo by Steve Granitz/WireImage)


オーガスト・リゴ(ミュージック・ソウルチャイルド、ケラーニ等)は、2013年にK-pop市場に進出した。実際に韓国へと渡った彼は、K-pop 3大レーベルのひとつであるS.M.Entertainmentが主催する1週間に及ぶソングライティング講座に参加している(7日間のうちに13曲のデモを完成させたプロデューサーもいるという)。「ホワイトボードが置いてあって、起用したアメリカのプロデューサーたちの写真が貼ってあった」リゴはそう話す。「その時は10枚くらいだったと思う。ハーヴィやテディ、R&B界の巨匠たちの写真さ」しかし彼によると、現在は写真が増えすぎてホワイトボードに収まらなくなっており、新しい写真を古いものの上に重ねている状態だという。


NCTドリームやボーイズ・リパブリック等に曲を提供しているリゴは、これまでに参加したK-popのソングライティングセッションにおいて、ブルーノ・マーズの『24K・マジック』収録曲でグラミーにノミネートされたメンバーを擁するプロダクションチーム、ステレオタイプスと複数回顔を合わせているという。他にもパトリック・”J・Que”・スミス(ビヨンセ、アッシャー)、ケヴィン・ランドルフ(5年間にわたってジェレマイのミュージカル・ディレクターを務めた他、ジャズミン・サリヴァンやキーシャ・コールの作品にもクレジットされている)、ロドニー・”チック”・ベル(メイソン・ジュニアの弟子)等も、K-popシーンでヒット曲を出している。

韓国におけるソングライティング講座は、アメリカにおけるそれと共通点が見られるという。「素晴らしい曲を書くっていう目的に違いはないわ」ベルはそう話す。しかし韓国では、作曲家たちが様々なツールをより積極的に採用する傾向が見られる。プリシラ・レネア(リアーナ、メアリー・J・ブライジ、K-popグループの少女時代等)は、最近のアメリカのマーケットを意識したソングライティングにはフラストレーションを感じることもあると話す。「インスピレーションを求めて、スタジオで優れたR&Bをかけたりすると、『すっごいドープ!』って盛り上がるの」彼女はこう続ける。「でもいざ曲を作るとなると、コード進行はありきたりだし、展開は少ないし、面白みのないビートばかりなのよ」エクソやシャイニー、テヨン等にヒット曲を提供しているベルも同調する。「アメリカじゃとにかくシンプルさが重視されるの。同じメロディを延々と繰り返すようなね」

対照的に、「韓国のポップスでは大胆な展開が好まれる」とベルは話す。「アメリカの曲の大半が4つか5つのメロディでできてるのに対して、K-popの曲には平均して8〜10くらいのメロディがある。リッチなハーモニーも特徴のひとつね」S.M.エンターテインメントが送り出したボーイバンド、NCT127のヒット曲『リミットレス』を手がけたランドルフも同調する。「韓国じゃ短いビートのループは通用しない。曲にあんなにも多くの展開を持たせるのはK-popだけだろうね。作曲家としては大いにやりがいがあるよ」



ブラックアメリカンが育んできたR&BというスタイルへのK-popの傾倒は、アメリカ文化の盗用と受け止められることもある。最近では大ヒット曲『ダット・スティック』でNワードを使ったインドネシア人ラッパー、旧名リッチ・チガが批判に晒されたことが記憶に新しいが、過去にはコーンロウに黒塗りという姿で、歌詞にNワードが登場する曲を歌ったK-popのグループが非難されるというケースもあった。

Translated by Masaaki Yoshida

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