元PRIDEヘビー級王者がFBIの捜査対象に ロシアゲートと総合格闘技のダークサイド

2008年、ヒョードルと写真に収まるドナルド・トランプ(Photo by Tiffany Rose/WireImage)



前米国務省のメディカル・オフィサーで、モスクワでの駐在経験もあるケネス・ディクリーヴァ博士は、オンライン・ニュースサイトのザ・サイファー・ブリーフに寄せた記事で、「マーシャルアーツと柔道の探求は、プーチンの個性を形成する重要な要素だったと思われる。プーチンは、マーシャルアーツの有名人たちと非公式で個人的な関係を築き、“マーシャルアーツ外交”をうまく利用した宣伝効果を高めている。例えばマーシャルアーティストでもある米国俳優のスティーヴン・セガールらを利用して、自身の政治戦略を推進している」と述べている。2016年プーチンは、合気道7段のセガールに対してロシアの名誉市民権を与えた。

トランプ、プーチン両者とヒョードルとの密接な関係の裏には、トラブルにつながるダークな一面もある。両指導者は米国とロシアでそれぞれ、白人のナショナリズムやネオナチのサブカルチャー、そしてエメリヤーエンコ兄弟をはじめとする総合格闘技のカルチャーへ政治的にアピールすることで、同時にそれぞれのカルチャーに属する人々からの支持を得てきた(このストーリーに関してUFCにコメントを求めたが、返答はない)。

「ロシアにおける総合格闘技のサブカルチャーも、ナショナリズムと結びついている。格闘技が特に盛んでイスラム系住民の多い北コーカサス出身の選手を排除し、スラヴ系ロシア人のみを集めてトレーニングしようとするクラブもある」とAFP通信は伝えている。「治安の悪い南部地方出身でスラヴ系ロシア人ではない選手が出場できないアマチュア・トーナメントもある。ロシア南部地方は、多くの有名レスラーを輩出している」

状況はさらに悪い。例えば、ロシアの総合格闘技界と密接に関係したアパレル会社のホワイト・レックス。同社は、ネオナチ、ファシスト、白人至上主義者に迎合しているとして批判を受けてきた(ローリングストーン誌は同社にコメントを求めたが返答がない)。SBネイションが運営する総合格闘技サイトのブラディ・エルボーに掲載されたホワイト・レックスに関する記事では、同社のデザインした神秘主義、オカルト、反キリスト的なシンボルのほか、ナチスを彷彿とさせるシンボルについて取り上げている。「ホワイト・レックスのシャツには、“Zero Tolerance”、“Angry Europeans”、“White Rex Against Tolerance”などのスローガンがあからさまに書かれている。また、“ハイル・ヒトラー”を表す“88”のシンボルがデザインされた女性用ウェアもある」

ホワイト・レックスの創業者デニス・ニキーチンは、あるロシアのメディアとのインタビューで、自身のブランドに“ネオナチ”のレッテルを貼られることに異を唱えた。しかし彼は、ドイツ、オランダ、アイルランドなどで過ごした約10年間で、ナショナリズムについての理解を深めていったとも述べている。「なぜ白人が虐げられるのかを考えてみた。そして何かが完全に間違っていると気づいたんだ。政治から締め出された右派は、自分たちの主張を表現するために街へ出て、よそ者を懲らしめる必要があった。そうするのが意見を主張するための唯一の方法だった」

Translated by Smokva Tokyo

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