「ふざけの権化」を名乗るバンド、CASIOトルコ温泉の「源泉」を探る

京都を拠点に活動するバンド、CASIOトルコ温泉(Photo by Kazuki Watanabe)

2017年に大阪のこんがりおんがくからファースト・アルバム『ゆ』を発売。右手にビール、左手にシンセサイザー、腰にはフラフープという浮かれたスタイルが特徴的なふざけの権化4人衆、CASIOトルコ温泉。彼女たちのライブには唯一無二の面白さと、誰も彼もが踊りふざけたくなってしまう熱がある。女優・タレントとして活躍する石山蓮華が京都在住の彼女たちにメールインタビューした。

※この記事は3月25日発売の「Rolling Stone JAPAN vol.02』に掲載されたものです。

石山:バンド結成のきっかけは何ですか?

PKNY:きっかけは事故のようなもので……。私、MTG、シンセ先輩ともう一人女の子でラブリースヌーピーラブというバンドを組んでいたのですがあるライブ前日、4人中2人がインフルエンザにかかり、残された私とMTGでライブをしたのがCASIOトルコ温泉の始まりです。初ライブはCASIOトーンのROMを使ったカラオケとトルコ行進曲(由紀さおり&安田祥子バージョン)をやりました。

石山:バンド名がCASIOトーンとトルコ行進曲から来ていたのは驚きです。ライブでCASIOトルコ温泉を拝見し、その唯一無二なスタイルに強く惹かれました。どんな経緯でこのスタイルに?

PKNY:2回目のライブには、シンセ先輩をフラフープ担当で誘いました。初期はカラオケでなくステージでCASIOトーンを弾いており、しばらくは私とMTG、シンセ先輩の3人体制でした。地下アイドル大会でパフォーマンスや歌声がめちゃ良かったちやじちゃんをスカウトして4人体制になりました。確かこの頃には、打ち込みで作ったオケに気まぐれで音を重ねていくようになってちゃんとキーボード弾いたりは放棄していたように思います。

ちやじちゃんには、合いの手以外のマストを決めず自由に考えてもらった結果、ザルと小豆で波の音を出してくれたり、ステキなダンスをやってくれるようになりました。また4人体制になったあたりからシンセ先輩によるサンプラーを使った「自由タイム」が増えていきました。私もシンセ先輩が何を仕込んできているか毎度楽しみにしています。

石山:「酒の神」ことシンセ先輩をはじめ、メンバーの皆さんがライブ中お酒を楽しそうに飲み続けていたのが印象的でした。ライブ中にお酒をよく呑まれるのはなぜですか? お気に入りのお酒も併せて聞かせてください。

シンセ:サンプラーを押す以外あまりやることがないので酒を飲んでいます。ビールならアサヒスーパードライが好きです。うまいからです。

PKNY:緊張するので自分を鼓舞する為と、CASIOは呑みながらライブするのが本当に楽しいからです。お酒は、キンミヤを割ったものかサッポロ黒ラベルが好きです。私はお酒に弱いのですが、この2つはよい塩梅が続きます。

ちやじ:お酒を呑むと運動神経が良くなった気がするので呑みます。芋のお湯割り、ビールならキリンラガーが好きです。

MTG:ビビりなので朗らかに行くために呑んじゃいます、好きな酒は男梅サワーです。ビールはサッポロが好きです。一度、佐伯誠之助さんから差し入れでステージに泡盛セットが用意されていたことがあり、乾杯してからライブをしました。また、ライブ中ビールを盛大にこぼしてPちゃんのPCが死んだことがあるので、飲みすぎには注意してます。

石山:ライブ中に心がけていることは?

シンセ:酒をよく飲むことです。

MTG:根がビビリなのでヒヨらないようにしてます。

PKNY:パソコンから出ているオケの音量に気をつけ、お客さん・メンバーのテンションが落ちないようにしています。

ちやじ:棒立ちしない、音をよく聴く。勝ちたい相手を思い浮かべる、です。

石山:「びわ湖わんわん王国」というフレーズがガバのように繰り返される一曲「びわ湖わんわん王国」が大好きです。



MTG:CASIOのライブ中にシンセ先輩がびわ湖わんわん王国のCMを流したことがあり、それがツボにはまったところから発展した曲です。私は関東出身で実在したびわ湖わんわん王国の存在を全く知りませんでした。歌詞は妄想です。

シンセ:関西出身で、びわ湖わんわん王国のCMが記憶に残っていたので……。一度行ったことがあると思っていましたが、最近親に確認したら行ったことはありませんでした。

石山:「ほっぺにCO2」の歌詞に“小学生からドラムマシンを覚えた私に不覚はないぞ”というフレーズがありましたが、実際に音楽に触れ始めたのはいつですか?



MTG:CO2のその歌詞の続きが“右手小太鼓、左大太鼓一人でテンツクしてた夏”と続くんですが、町内の夏祭りのお囃子が好きすぎて学校にいる間、右手で小太鼓の囃子、左手で大太鼓の囃子を机の下でずっと叩いてたんです。人力リズムマシンということで、実際のリズムマシンは小学生の頃見たことも触ったこともないです。なので、厳密に言うとこのリズムマシンのくだりは嘘ですね……。音楽の目覚めはお囃子です。影響を受けたアーティストは関西ゼロ世代の方々と電気グルーヴです。

ちやじ:高校生のとき軽音部だったのですが、当時の最先端に乗り切れず、楽しみ切れず卒業しました。漠然とバンドがやりたいという思いを引きずったまま大人になり、偶然見かけたのがCASIOのライブでした。小さいときからずっと好きなのは、みんなのうたやポンキッキで流れる曲です。

シンセ 幼少期から15年ぐらい祖母にピアノを習わさせられていました。毎日家の外から練習を催促されるなど、かなりつらかったです。今役に立っているかというと微妙です。

PKNY:小学生の頃、町の少年少女合唱団に入団したのが最初です。揃いの制服に白ベレーをかぶって発表会に出たり合宿があったりで楽しかったです。あふりらんぽさんやおしりペンペンズさんといった関西ゼロ世代の方々にめちゃ影響を受けました。

石山:2018年の目標があれば聞かせください。

MTG:新曲作りたいです! がんばります!

CASIOトルコ温泉
2009年結成。PKNY、MTG、シンセ先輩、ちやじの4人組グループ。名前の由来は結成当初のメンバー2人がカシオトーンしか持っていなかったため。 その後小豆やフラフープのメンバーが加入し現在の4人組となる。現在はトラックに合わせてサンプラーやシーケンサー等のボタンを押しながら騒ぎたてるライブスタイルで関西中心に活動中。
https://twitter.com/casio_trkongsng

石山蓮華
女優。埼玉県出身。日本テレビ「ZIP!」にレポーターとして出演中。主な出演作は、映画『思い出のマーニー』、舞台『遠野物語-奇ッ怪 其ノ参-』、テレビ『ナカイの窓』など。趣味は電線、配線の写真を撮ること。
https://twitter.com/rengege

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