LGBTQを讃える「GLAAD賞」ジェイ・Zの母親が特別賞:「笑顔で自分を解放してください」

ジェイ・Zの母、クロリア・カーター GLAADアウォード授賞式で(lev radin / Shutterstock)

昨年、自分が同性愛者であることを息子に告げたジェイ・Zの母グロリア・カーター。その告白を聞いたジェイ・Zは涙を流し、「スマイル」という曲が誕生した。米現地時間5月5日、同性愛者やLGBTQを讃える「GLAADアウォード」で、グロリアは特別賞を受賞した。「これが私です。愛にあふれていて、他人を敬い、一生懸命働きます。そしてひとりの人間として、愛する権利をもっています」と語った。

昨年、ジェイ・Zがアルバム『4:44』をリリースしたとき、何百万人ものリスナーは彼の母親グロリア・カーターについて知ることとなった。性的傾向を隠しながら人生の大半を生きてきた彼女は、ようやく最近になって、自分が同性愛者であることを息子に告げた。母と交わした会話でジェイ・Zは涙を流し、その結果「スマイル」という曲が生まれた。曲の終盤には、母親本人みずからカミングアウトする声が収められている。「自分が愛する人を愛すればいい。人生で確かなことは何もないのだから」

土曜日の夜、ニューヨークのヒルトン・ミッドタウンで行われたGLAADアウォード授賞式でも、グロリアさんはこのメッセージを繰り返した。「スマイル」での功績を認められ、特別賞を受賞した彼女は、客席からの拍手に応えて語った。「私には、自分が大切に想う人を愛する権利があります。さあ笑って。自分を解放してください」

「スマイル」はシングルカットされていないにも関わらず、アルバム中もっとも反響を呼んだ1曲となった。最近出演したTVのトーク番組『今日のゲストは大スター』の中で、司会者のデビッド・レターマンからこの曲について質問されたジェイ・Zは「母がやっと自由になれて、すごくうれしかった」と語っている。

GLAADアウォード授賞式では、ニュース番組『グッド・モーニング・アメリカ』の司会者ロビン・ロバーツがグロリアさんをこのように紹介した。「(有色人種のレズビアンについて)世界中が語るようになったきっかけを作った女性です。多くの数えきれない女性たちが彼女に救われました」「母親である彼女は、社会にレッテルを張られ、経済的な苦労をかかえながら、檻の中の人生を送ってきました。彼女の子供は、永らくLGBTQを認めてこなかった社会で成功をおさめ、尊敬のまなざしを浴びている。そんな子供の目をじっとみつめて、母親はこう言うのです。『息子よ、これが私なの・・・』 これ以上に、寛容という概念を見事に伝えるものがあるでしょうか?」

スピーチでグロリアさんは「私はオールドスクールですよ」と茶目っ気をのぞかせつつ、事前に用意したメモを読み上げながら、曲のきっかけとなった息子との会話を振り返った。「息子に真実を語ったことで、この曲は現実になりました。私にとって、人前で本当の自分について話すのはこれが初めてです。息子は涙を流しながら、長い間、そんな風に暮らしていたなんて、きっとつらかっただろうね』と言いました」

「でも、決して辛い人生ではありませんでした。私は自分の家族を、無知な人々から守ることを選んだのです。幸せでした。ただ、自由ではなかっただけ」

Translated by Akiko Kato

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