音楽史上最もセクシーなミュージック・ビデオ・トップ30

4位 ブリトニー・スピアーズ「I’m a Slave 4 U」

2001年にブリトニー・スピアーズは英オブザーバー紙に「違うことをするチャレンジを続けると、人はそれに気付いて、気に入ってくれるの。だから、変化するのは私次第ってこと」と言っている。「I’m a Slave 4 U」は、2001年のアルバム「Britney」からのファースト・シングルで、当時人気上昇中のネプチューンズがプロデュースしたレイザーガン的ポップ・ファンク曲で、このビデオはスピアーズの挑戦への覚悟を示しているだろう。サウナのようなダンスクラブで、汗まみれのスピアーズもバックダンサーも、シンプルなビートの虜になって踊っている。

3位 マドンナ「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」

フレンチ・シネマにオマージュを捧げたこの4分間のビデオは、ポップ・チャートを一気に駆け上がったアンニュイな聖歌「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」のモノクロのクリップだ。絵画のような描写で、白日夢的なボンデージ・プレイ、グループセックスが展開される。「コンセプトは一切なかったが、とにかくマドンナが疲れてホテルに戻ってきて、ホテルを出るときには気力も体力も人生もすべて復活しているというイメージだけはあった」と、監督のジャン=バプティスト・モンディーノがローリングストーン誌にかつて語っていた。1990年のマドンナの元気の源があまりにも風変わりなため、MTVはこのビデオの放送を拒否し、ABCのニュース番組「ナイトライン」でマドンナが経緯を説明することになり、ビデオ・シングルという概念が復活することになった。物議が沸き起こったとき、マドンナはニューヨーク・タイムズ紙に「映画館に行って人が粉々に吹き飛ぶ残忍な映画は見るくせに、女同士がキスしていたり、男同士が抱き合っているのは見たくないわけ? あのビデオはロマンチックで、愛情にあふれているし、ユーモアだって入っていると思うわ」と語っていた。

2位 プリンス「Kiss」

多彩な顔を持つ変人プリンスは、彼のビデオだけでセクシー・ビデオ・リストを作れるだろう。マドンナ同様、プリンスも“限界に挑戦ビデオ”を次から次へと制作し、MTVの基準や規則がそれに合わせてどんどん変わることになった。特に1986年のファンキーな誘惑ビデオ「Kiss」は突出している。このビデオでプリンスは踊りを披露し、腹筋を露わにしているのだ。ギタリストのウェンディ・メルヴォインとダンサーのモニーク・マニングも登場するが、彼女たちへの信頼感がプリンスのエロティック・パワーを刺激したのだろう。(2017年9月26日、モーラ・ジョンストン評)

1位 クリス・アイザック「Wicked Game」

クリス・アイザックの1990年のバラッド曲のために作られたMVを構成する要素はとてもシンプルだ。男、女、ビーチの3つだけ。しかし、監督のハーブ・リッツによると、歴代で最もホットなこのビデオに加えられた一番の要素はモノクロ映像らしい。モノクロの世界でアイザックとスーパーモデルのヘレナ・クリステンセンは互いを誘惑するように波打ち際で転がり(クリステンセンはトップレスだが、カメラアングルと編集でヌードを上手く処理する戦略がとられている)、60年代で一番傷ついたポップに触発されたギターラインでアイザックがため息をつく。アイザックとクリステンセンが見せた抑えた情熱は恋愛の脆さを際立たせ、コンセプトのシンプルさゆえに色褪せることなく、今でも目を見張らせる作品に仕上がっている。


Translated by Miki Nakayama

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