ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ワースト・ムービー」

8位 『パパVS新しいパパ2』

最も面白味に欠けるホリデーコメディ賞はこの作品に与えよう。家族全員が楽しめる作品として分不相応なヒット作となったが、実は銃暴力、同性愛嫌悪、セクハラをネタにした冗談を拡散している。父と継父を演じたマーク・ウォールバーグとウィル・フェレルにとってはそれぞれのキャリア最悪の役どころだ。(神様、子供たちを助けて!) そこに加わるのがいやらしい目つきで底意地の悪いメル・ギブソンと、大甘のジョン・リスゴーが演じるそれぞれの父親だ。最悪な脚本を素晴らしいキャストで演じることは、クリスマスにひどい目に遭うのと同意語だ。悪評高い『グリンチ』ですらマシに思える。

日本公開:劇場未公開 ※DVDリリース、デジタル配信済み

7位 『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

『レオン』から『フィフス・エレメント』まで、映画制作者リュック・ベッソンは独自のスタイルを見せ、セリフ音痴を克服し、独自の映像の楽園を作る野望を示してきた。しかし、今回は違ったらしい。いや、そんな生易しいもんじゃない、完全に違う。まず、宇宙の秩序を維持する使命を与えられた特殊エージェントのヴァレリアン役を任されたデイン・デハーンは完全なミスキャストだ。薄笑いを浮かべたカーラ・ディルヴォーニュが彼の相棒のローレリーヌ役というのも疑問だ。このSFファンタジー作品は、ピエール・クリスタンとジャン=クロード・メジエールが作ったフランスのグラフィック・ノベルを実写映画化したものだが、137分間もダラダラと続く。通常の3Dよりも良質で活気のある美術も、リアーナの気取ったカメオ出演も、眠気で閉じそうな目を開けるほどの刺激にはならない。

日本公開:3月30日より全国公開中

6. 『The Mountain Between Us(原題)』

2017年で最も退屈で、意味不明で、何のケミストリーもないロマンス映画がこれなのだが、皮肉なことに主演はケイト・ウィンスレットとイドリス・エリバという映画界でも最もカリズマティックな俳優たちだ。彼女はフォトジャーナリスト、彼は神経外科医。赤の他人の二人が、乗り合わせたプライベートジェットが猛吹雪で墜落したことで恋に落ちる。そんな状況下での恋愛ゆえ、彼らが燃え盛るキャビンでセックスするのも仕方ないのだが、この燃え盛るキャビンは、行く手を塞ぐ猛吹雪の中をさまよいながらクーガーの襲撃をかわす二人に飽きた頃にいきなり出現する。熟練のオランダ系パレスチナ人のハニ・アブ=アサド監督(『パラダイス・ナウ』、『オマールの壁』)が、チャールズ・マーティンのベストセラー小説を映画化した背景に見え隠れするのは、芸術面での困難ではなく、小切手の金額に惑わされたときの才能の無駄遣いだ。映画館では途中で席を立つ観客が後を絶たなかった。

日本公開:未定

5位 『ザ・マミー/呪われた砂漠の女王』

トム・クルーズは自分のキャリアを台無しにしたいのだろうか? 驚くほどひどいこんな失敗作を作るなんて。ユニバーサル・スタジオが企画したダーク・ユニバース・シリーズ(ジキルとハイド、透明人間、フランケンシュタインなどのクラシック・モンスターを復活させるプロジェクト)がこの作品の発端だが、クルーズは主演すらしていない。代わって、3000年の死の眠りから目覚めたエジプトの呪われた王女を演じたアルジェリア人女優ソフィア・ブテラが担っている。しかし、彼女は死の神セットを保護するためにクルーズ演じる古美術商が必要なのだ。とにかく、この作品の息遣いが全く聞こえず、使われているデジタル・トリックも過去に見たものばかり。アレックス・カーツマン監督は最善を尽くしたと思われるが、どうあがいてもこの作品に息を吹き込むのは無理だったようだ。

日本公開:公開終了 ※DVDリリース、デジタル配信済み

Translated by Miki Nakayama

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