来日目前のデュア・リパにNYで密着取材「自分がやるべきことの意味」

SNLのリハーサルを終えたリパはクルマの後部座席に乗り込んで、宿泊しているロウアー・イースト・サイドのホテルへと向かった。ホテル前ではパパラッチが彼女を待ち構えていたが、今は誰もいないようだ。ホテルのレストランに入ろうとしたが、レストランがオープンするのは30分後だという。私たちはロビーに戻って、立ったまま次の動きを考え始めた。

最近のリパにオフの時間はほとんどない。2~3晩前の彼女はカナダのモントリオールでヘッドライナーのコンサートを行っていた。その少し前はジャマイカにいて、伝説のジージャム・スタジオで次回作の楽曲を徹底的に作り込んでいた。「ポップな部分は残しながらも、もっとソウルフルな方向へ持って行きたいの」と、次回作についてリパは語る。「この声がそのジャンルに導いているって感じ」だと。そして、プリンスの「エレクトリック・チェア」、フランシス・アンド・ザ・ライツの新作、アウトキャストの音楽など、彼女がインスピレーションとして使っているものを幾つかリストアップしてくれた。リパはここ数カ月間、スタジオでの音楽制作に多くの時間を費やしている。そこにはプラチナ・ディスク請負人のヒットメーカー、マーク・ロンソンとポップス界の黒幕ことマックス・マーティンもいる。「マックスと1週間一緒に作業したけど、そのとき、自分の作った曲の表現の仕方にはもっとたくさんの方法があると初めて感じたわ。彼との作業は、まずメロディを録音するの。それを何度も聴き返す。そして『そうだな、この音符を変えた方がいいな』とか言うのよ」。歌詞を書くときには「同じ言葉を頻繁に使わないとか、横に並べちゃダメとか。あと、拍の真上で始めるだけではつまらないとか。ジャマイカで作ったものをマックスに聴かせてみたの。そしたら『これはもっとシンプルにできるよ。ここだけ2回繰り返してごらん。リスナーが聴きやすいようにするんだよ』って言われた。マックスはルールやセオリーをたくさん知っているのよ」


デュア・リパは現在、マーク・ロンソン(左)やディプロと共に新しい楽曲を制作中(Courtesy of Dua Lipa)

このようなシステマチックなアプローチが、今のリパには魅力的に映るという。彼女はスマートフォンに何ダースもの「やることリスト」をキープしている。その一つを私に見せて、こう言った。「これはね、死ぬまでに読む100冊のリスト。もう本は全部買ってあるから、最終目標はこれを全部読み切ることよ」。チャールズ・マンソンの殺人事件に触発されたエマ・クライン著『ザ・ガールズ』を読み終わったばかりで、かなり気に入ったとリパが言った。現在はミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を読んでいる最中で、「これはソングライティングに役立つと思う」という。

レストランが私たちの席を準備するまでもう少し時間がかかるようだ。「ディナーの前にデザートを食べるのは反対?」とリパが質問してきた。そうして、私たちはアイスクリーム店まで一緒に歩くことになった。「このお店にはこの3日間毎日来ているの」と言って、ビーガン・バニラとか何とかいうアイスにスプーンを突っ込んでいる。そして言った。「食事の前にこんなことをしちゃいけないけど、時にはルールを破らないダメでしょ?」と。

デュア・リパは、2018年5月8日(火)には東京 Zepp Tokyoで来日公演を行う予定だ。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE