来日目前のデュア・リパにNYで密着取材「自分がやるべきことの意味」

デュア・リパ(Photo by Bryan Derballa for Rolling Stone)

大ヒット曲「ニュー・ルールズ」で時代の申し子となったUKの新しいアイコン、デュア・リパ。22歳の彼女が語るコソボでの思春期、テイラー・スウィフト絡みのトラブル、女性としての在り方とは?

サタデー・ナイト・ライブ(SNL)のスタッフがスタジオ8Hでグリーンバックを設置していたとき、黒のロングドレスに身を包んだデュア・リパが入ってきた。彼らの横を通り過ぎてステージに進み、グランドピアノの前の椅子に座る。長い足を放り出してブラブラさせる姿は、ホテルのラウンジでくつろいでいるかのようだ。この日は2月最初の木曜日。2日後にリパはSNLの音楽ゲストとしてパフォーマンスすることになっていた。彼女の自信には理由がある――ロンドン出身で22歳のポップ・シンガーであるリパは、2017年にイギリスで最もストリーミングされた女性ミュージシャンとなった。コールドプレイのクリス・マーティンやブルーノ・マーズも彼女のファンで、最大のヒット曲「ニュー・ルールズ」はYouTubeで10億回以上も再生されている。

リパのリハーサルは「ホームシック」から始まった。この曲はクリス・マーティンと共作した傷心のバラード曲で、彼女のレパートリーのなかで頻繁に演奏される曲とは言い難い。しかし、彼女のリッチでスモーキーな声質に最も合うスローなナンバーでもある。普段、彼女が演奏する曲は、がむしゃらで、アップテンポで、聴くと体を動かしたくなるものが多い。リパのマネージャーのジュールズが、モニター画面に自分のスマートフォンを近づけて、後でチェックするためにリハーサルの模様を録画している。リパのプランは、ピアノの上に座って、ほとんど動かずに歌うというもの。彼女は動きを最小限にすることで、逆に歌がパワフルに聴こえることを望んでいるのだが、一方で動きがなさすぎてつまらない印象になることを心配してもいた。

リパは自分がどう見えるのかを学んできた。人の目にさらされる立場にいると、ほんの些細な動きですら大げさに報道されるものだ。例えば、2017年10月、ドイツでのライブ時に、彼女はジュールズからテイラー・スウィフトの「Speak Now」Tシャツを借りてサウンドチェックとミート&グリートを行った。その時の写真がInstagramに投稿されると、それを見つけたテイラー・スウィフトのファンが何の気なしに写真を拡散した。それですぐにスウィフト自身も反応し、「うれしくてキャーキャー叫んでる」という大興奮のコメントを投稿したのである。

しかし翌月、リパとチーム・テイラーとの友好関係は炎上する。リパの写真を拡散した一部のスウィフト・ファンが、2016年にリパが行ったビデオ・インタビューを発見したのである。その中でリパは二者択一のクイズに答えていた。そして、スウィフトとカニエ・ウェストのどちらかを選べと言われたリパは、一瞬の迷いもなく「カニエ」と即答したのだ。「2人の確執のことなんて頭の中になかったの」とリパは語る。「単純に彼らの音楽についてだけ考えていた。テイラーも素晴らしいと思う。でも私はヒップホップの大ファンだから、比較する相手が誰であってもカニエを選ぶと思うわ」。リパは熱狂的なスウィフト・ファンから憎しみの集中砲火を受けることとなった。「彼らは蛇の絵文字を3日間連続で送りつけてきたし、『お前なんか死んでしまえ』とかコメントしていた。私は『ねえ、私は何も言っていないでしょ!』って思ったわ」

Translated by Miki Nakayama

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