若者の代弁者、神童・カリードが語る未来への展望

若干20歳のシンガー、カリード(Peter Yang for Rolling Stone)

若干20歳のシンガー、カリード。アリシア・キーズ、ケンドリック・ラマー等から支持を得る神童が、未来への展望をローリングストーン誌に語った。「若さはあらゆるものを変える力なんだ」。

昨年10月、カリードの携帯に1通のメールが届いた。20歳の誕生日を数ヶ月後に控えたティーンエイジャーの彼にとっての彼にとって、携帯電話は文字通りのマストアイテムだった。嬉しい時も辛い時も手放さなかったそのスマートフォンは、仲間たちと音楽を共有するためのツールでもあった。「高校時代はいつも仲間内で、お互いの好きな曲を教え合ってた」彼はそう話す。「携帯にAuxコードを繋いで、各自がお気に入りの曲をかけるんだ」

高校時代をテキサスのエル・パソで過ごし、3年生になる頃に曲を書き始めたという彼は、胸に抱える孤独をメロディーに変えては、愛用するiPhoneに保存していった。そこから生まれた『ロケーション』(サイバースペースではなく、現実の世界で繋がりたいと歌う)を収録した、ロマンチックなR&Bとポップを独自のセンスで融合させた彼のデビューアルバム『アメリカン・ティーン』は、ビルボードのアルバムチャート第4位を記録した。そして昨年10月、ロードのオープニングアクトとしてノルウェーに来ていた彼のもとに、思いがけないメールが届いた。その送り主はケンドリック・ラマーだった。

「クレイジーだよね」カリードはそう話す。過去12ヶ月間、彼はそのセリフを幾度となく口にしていた。ライブ会場は500人収容の小さなクラブからレディオ・シティ・ミュージック・ホール(両日ソールドアウトとなった2公演の総動員数は12,000人以上)へと移り、アリシア・キーズ(「彼女は僕のマインドが好きだと言ってくれた」)をはじめとするヒーローたちから賛辞を集め、ウォームでありながら哀愁を帯びたその歌声に目をつけたスターたち(ロジック、カルヴィン・ハリス、マシュメロ、フィフス・ハーモニーのノーマニ等)の作品にゲスト参加し、最近ではロキシー(現在進行中のヘッドラインツアーのタイトルでもある)という子犬を引き取った。「子供の頃からの夢が、全部現実になりつつあるんだ」彼はそう話す。「1歩ずつステップアップしていこうと努めているけれど、めまぐるしく変化する状況についていくので精一杯なんだ」

それでも彼は、ケンドリック・ラマーからのメールには驚きを隠せなかった。「ノルウェーから移動しようとしてた時に、あるプロジェクトに参加しないかっていうメールが届いたんだ」カリードはそう話す。「直に彼に会うまで、内容については知らされなかった」言うまでもなく、そのプロジェクトとは『ブラックパンサー』のサウンドトラックだった。「ケンドリック・ラマーの前で歌うなんて、考えただけで足がすくみそうだった」彼とラマー、そしてレイ・シュリマーのスウェイ・リーの共作である『ザ・ウェイズ』は、『ブラックパンサー』の世界で逞しく生きる女性の姿を描いた曲だ。「パワーガール、君のやり方を見せてくれ」彼はそう歌い上げる。「その小さな背中で、君は家族を支えてみせる」」

「僕にとってこの曲は、物語の世界に生きる逞しい女性たち、とりわけ黒人の女性への敬意を示すものなんだ」彼はそう話す。「この物語では女性が力を持ってる。強靭な意志を持ち、勇敢で、思いやりに満ちてる。僕にとっては、母親がまさにそういう存在なんだ。あらゆる面で僕をインスパイアしてくれた母さんがいなかったら、今の僕は決してないだろうから」

Translated by Masaaki Yoshida

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