浅井健一インタビュー「右や左ではなく、俺は真ん中を目指している」

歌詞の説明をしないわけじゃなくて、説明のしようがないんだよ

―今回、収録されている「空港」というストーリーが凄くいいと思ったんですよ。

浅井:俺も好きだよ。大好き。

―ひょっとしたら、作家デビューを考えているんじゃないかって(笑)。

浅井:いやぁ、絵も描くし、文章も書くし、バンドもやっとるってやりすぎだよね(笑)。しかも、自分のジーパンも縫っとるっていう(笑)。どうなるかわからんけど、今はとにかく『宇宙の匂い』を、みんなが読んで、どう思うのか楽しみだけどね。

―面白かったですよ。

浅井:おもろかった?

―ええ。冒頭に収められている「青い空」っていうショート・ストーリーは、浅井さんらしいと言うか、浅井さんが作る音楽に通じる世界観かなって思うんですけど、さっき言った「空港」や、「東京」の頭に入っている行きつけのバーの話は、ちょっと今までと違いませんか?

浅井:素直な感覚が出ているでしょ? 「空港」の銭湯のシーンで隣でシャワーを浴びてる人おるじゃん。あれ、(中村)達也だよ。

―へえ、そうなんですか!

浅井:東高円寺時代だわ。

―完全なフィクションではなくて、実体験を基にしているんですね。

浅井:ところどころに入っちゃうね。

―それを言ったら、最近の私生活について包み隠さずに書いた日記も赤裸々で。

浅井:そうだね。

―びっくりしながら読んだんですけど。

浅井:だって、俺、自分で味噌汁作っとるよ。ハハハハ。でも、味噌は日本人にとっては必需品だわ。あれを飲んだ日はちゃんと寝れる。

―そんなところも含め、僕はとても面白く読ませてもらいました。

浅井:読み応えあるかね?

―ありますよ。

浅井:あるよね。読んでる人が心地よくなれば、いいんだよね。

―さっきサリンジャーとケルアックの名前が出ましたけど、他に好きな作家はいますか?

浅井:ジム・キャロルの『マンハッタン少年日記』に凄い影響されたんだけど、この間、久しぶりに読んだら、それほど良くないなと思った。以前、読んだ感覚と違ったんだよね。久々に読んだら……。だから今まで散々、薦めてきたけど、ちょっと、うん(苦笑)。

―では、今、薦めるとしたら?

浅井:いっぱいあるけど、無難なところで、リチャード・バックの『イリュージョン』。

―浅井さんが他の人の曲で、かっこいいと思った歌詞についても教えてください。

浅井:『女は二度決断する』って映画でエンディングに流れるリッキ・リーの曲(「I Know Places」)の歌詞は抜群にいい。あれは抜群だよ。映画ももちろんいいんだけど、あまりにも辛い話でさ。でも、あの歌に救われた。それは映画に寄せたコメント通りだわ。日本人だったら、THE BLUE HEARTS、井上陽水さん、柴山俊之さんの歌詞はいいと思う。



―ご自分の歌詞について、どういうことを歌っているとか、そこに込めた意味とか、あまり説明しないという印象が浅井さんにはありますが。

浅井:説明しないわけじゃないよ。説明のしようがないんだよ。感じている人は感じてるだろうし、何も感じない人は感じないしってことだからね。(SHERBETSの)「わらのバッグ」って歌があって、ちょっとした物語になっているんだけど、それを聴いて、何も感じない人は何も感じないし、何か感じる人は感じるじゃん。だから、それだけのことだよね。

―その「わらのバッグ」をはじめ、浅井さんの曲はタイトルのつけ方が絶妙ですよね。タイトルだけで、どんな曲なんだろうって興味が湧きます。

浅井:たまにうまくいく。

―たまに? たまにですか?

浅井:いや、たくさんあると思うんだけど、ちょっと謙遜してみた(笑)。



浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS
「Sugar Days Tour 2018」
2018年5月4日(金・祝)大阪Shangri-La
2018年5月5日(土・祝)名古屋CLUB QUATTRO
2018年5月12日(土)新木場STUDIO COAST
http://www.sexystones.com/live/

「宇宙の匂い」
著者: 浅井健一
発行: 株式会社ビームス
デザイン: 大箭亮二(Z&Z inc.)
定価: 3,000円(税別)
※下記個展にて先行発売
※5月28日(月)より、BEAMSのオンラインショップで販売開始予定
※6月中旬より全国書店で販売開始予定

浅井健一 個展 「宇宙の匂い」
2018年4月27日(金)~5月27日(日) 11:00〜20:00 ※会期中無休
場所 : Bギャラリー(ビームス ジャパン 5F)
http://www.beams.co.jp/bgallery/


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