浅井健一インタビュー「右や左ではなく、俺は真ん中を目指している」

5月12日(土)にTHE INTERCHANGE KILLSを率いてツアー・ファイナルを開催する浅井健一(Photo by Kana Tarumi)


媚びを売るのは大嫌いだから、自分の気持ちを素直に表現している

―ツアー・ファイナル、楽しみにしています。ところで、今回、『宇宙の匂い』は、どんなきっかけで出版することになったんですか?

浅井:BEAMSに藤木(洋介)君っていう人がおって、BEAMSのギャラリーを仕切ってるんだわ。以前、そこで個展をやったんだけど、その彼が「何か本を出しませんか」って言ってくれて、詩集はこれまでにも3冊出しているけど、最後に出してから10年ぐらい経っているし、その間に新たに書いた作品もあるから、トータルでチョイスして、ベストな詩集を作って、そこに何かプラスして……要するに何か本を出そう。凄くいい本、心に残る本を出そうって、そういうところから始まったんだよね。藤木君のパワーもあり、うちらの思いもあって。

この歳になってから思うけど、本ってさ、凄い影響力があるよね。映画もそうだけど、本は寝る前に読めるしさ、大事な本だったら持っていったりするじゃん。旅行とか、いつでも。そういう大事な存在になるような本を作りたいっていうのが自分の中の、どこかにあったんだな。詩集もそうだけど、それプラス、ストーリーとか、日記みたいな文章とかさ。本当は日記を載せるつもりはなかったんだけど、(文章を)打っとって、読み返すと、ここのくだりいいなとかさ、そんな感じの部分とかもあって、それも載せたいと思って。日記みたいな文章も載ってるんだけど、何て言ったらいいかな、漠然と始まって、最終的に、いい感じになりました(笑)。だから、いっぺん読んでみて(笑)。

―日記は昔から書いていたんですか?

浅井:書いてないよ。去年の頭ぐらいからちょいちょい書き始めたって言うか、(パソコンで)打ち始めて、秋ぐらいから、それこそ(『Sugar』のジャケットとMVの撮影に)パリに行ったあたりから、日記も載せればいいのかなって思いながら書いてた。

―浅井さんって子どもの頃、作文って好きだったんですか?

浅井:大嫌いだったね(笑)。嫌い中の嫌いだった(笑)。 

―(笑)今は文章を書くのは?

浅井:好きだね。19歳ぐらいの時、散文を書くようになったんだわ。仕事中、暇な時にマンションの屋上に行って、ひとりで小さいノートに10分やそこら書いていて、しばらく時間が経ってから読み返すと、この文章いいなっていうのがあってさ。それまでは国語、大嫌いで、点数も凄く悪くて。本を読むのも大嫌いだったんだけど、その頃から、友達が文学的なことに興味を持ち始めて、それで俺もいろいろ読んだんだよね、『路上』とかさ。ビート・ジェネレーションがいいとか友達が言い始めて、なんか、その時にそういう文学的なことを知っているとかっこいいかなって思って(笑)。サリンジャーもその時、読んだんだわ。みんなが良しとしているかっこよさが自分にもわかった気がして、それで散文とか書いてたんだよね。、そのへんから文章を書くのが好きになっていったんじゃないかな。

―BLANKEY JET CITY時代から、浅井さんの作る曲って、音楽としてはもちろんですけど、歌詞も詩として評価されてきたじゃないですか。ご自身には、歌詞ではなく、詩を書いているという気持ちはあったんですか?

浅井:たまに自分でも、おぉ、これいいなっていうのが書けるなとは思ってたよ。たまにね、たまに。

―たまに? たまにですか?

浅井:何十曲か、自分が気に入っているのはあるんだけど、中には、これは違ってたなっていうのもあるよ。こんなこと歌わんときゃよかったなっていうのはあるけどね。

―他のバンドの歌詞よりも自分のほうがいいという気持ちは?

浅井:自信は昔から凄くあった。(他人の曲でも)中には、かっこいいなって歌もあったけど、大体かっこ悪いと思ってたかな。いつも。かっこいいと思う曲もたくさんあるけどね。でも、かっこ悪いなって思う曲のほうがダントツで多いけどね。

―ご自分が曲を作る上で、歌詞はかなり重要だと?

浅井:歌詞は絶対、大事でしょ。そんなの当たり前に。別に特別なことを言わんでもいいと思うんだよね、歌詞でね。いっとき、凄いことを歌の中で表現しないとダメだから、がんばらなきゃって思ってる時期もあったけど、途中で変わってきて、別に普通の、自分の気持ちを素直に表現できている歌のほうが最近は好きかな。

―「細い杖」という曲が一つ前の『METEO』というアルバムに入っているじゃないですか?

浅井:あんな感じが最近、好きかな。自分のふとした気持ちを素直に表現するだけでいいじゃんっていうね。

―でも、心に凄く残る。

浅井:そうなってたら一番いいな。だから、どえりゃあ曲を作ったろうって気持ちももちろん、どこかにあるんだけど、それが前面に出すぎちゃうとダメだわ。



―中には、物議を醸した曲と言うか、歌詞もあったじゃないですか。たとえば、今回、『宇宙の匂い』にも収録されている「ディズニーランドへ」とか、「悪いひとたち」とか(共にBLANKEY JET CITYの楽曲)。

浅井:でも、素直にその時、感じていたことなんだよね。素直といえば、素直だよ。ただ、そういうことを歌っている人たちって周りにいなかったから、たぶん世の中に出たら、みんなびっくりするって言うか、そういうふうな目で見られるだろうって想像ついてたよ。でも、本来、音楽ってそういうものであるべきじゃん。ロックってさ。みんなと同じようなものとか、馴染みやすいものとか、受けがいいものとか、迎合的にやるの俺、大嫌いだから。媚を売るようなことは。だから、自分で素直に思っているものを作り続けているけどね。

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