49歳で他界した『オースティン・パワーズ』シリーズの俳優、晩年は葛藤の日々を過ごす

『オースティン・パワーズ』シリーズでミニ・ミー役を演じた俳優ヴァーン・トロイヤーが49歳で他界(Photo by Albert L. Ortega/Getty Images )

映画『オースティン・パワーズ』シリーズでミニ・ミー役を演じた俳優ヴァーン・トロイヤーが、米国現地時間4月21日、49歳で他界した。

トロイヤーの家族がInstagramで「耐えがたい悲しみに沈んだ心を抱えながら、本日ヴァーンが亡くなったことをお知らせします」と発表した。

そして、「ヴァーンは愛情深い人でした。みんなを笑顔にしたい、笑わせたいと思っていました。助けが必要な人には可能な限りの援助を惜しまなかった人です。ヴァーンは毎日そのようなメッセージを拡散しながら、仕事を通して前向きな変化を起こしたいと願っていました。彼はその意欲、決意、姿勢で、世界中の人々に影響を与えました」と続いた。

映画『オースティン・パワーズ』シリーズでトロイヤーと共演したマイク・マイヤーズは、「ヴァーンは熟達した演技のプロで、彼との共演に恵まれた我々全員を前向きな気持ちにする導き手でもありました。今日は悲しい日ですが、彼の心が安らかになる場所に行ったと思います。彼は今後も私たちの記憶に残るでしょう」と、声明を発表した。

死因は明らかになっていないが、家族はトロイヤーが「最近は困難な時期」を過ごしていたと書いている。そして、「ヴァーンは自分が闘うべき葛藤に果敢に挑んでいました。何年間も、闘っては勝つ、葛藤しては闘うを繰り返していましたが、残念なことに、今回の葛藤は手に負えなかったようです。うつ病と自殺は非常に深刻な問題です。本人の内側の葛藤は外から見えないのです。皆さん、誰に対しても優しくしてください」と綴っている。

彼は世界で最も背の低い人間の一人だった。その原因は軟骨無形成による小人症で、81cmで成長がとまった。トロイヤーは1993年にスタントマンとしてショービズ界に参入。映画『赤ちゃんのおでかけ』(1994年)では子役のスタントダブルを行っている。

「1993年、僕がまだ携帯電話会社スプリントのカスタマーサービスに勤めていたときに、NPO団体リトル・ピープル・オブ・アメリカ(LPA)の代表を務める友人に『赤ちゃんのおでかけ』のプロデューサーから電話で、子どもの代役ができる身長の人がいないかと問い合わせがきた」と、映画情報サイトのハリウッド・シカゴにトロイヤーは以前語った。「たぶん世界中を探したけど、適任が見つからなかったのだと思う。そこで僕の写真を送ったら、ハリウッドまで呼び寄せられたんだ。彼らに会った2日後、仕事を依頼され、僕はスプリントを退社したよ」と。

その後、スタントの仕事や小さい役を得るようになり、『メン・イン・ブラック』や『ラスベガスをやっつけろ』に出演し、1999年に『オースティン・パワーズ:デラックス』で演じたミニ・ミー役でブレークする。これはマイク・マイヤーズ演じるDr.イーブルの品行不良なミニサイズ・バージョンで、トロイヤーは2003年の『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』にも再び同じ役で登場した。



ブレーク後、トロイヤーが出演した映画は、『ハリー・ポッターと賢者の石』、『グリンチ』、『愛の伝道師 ラブ・グル』(劇場未公開)、『Dr.パルナサスの鏡』など。この後、活躍の場をテレビに移し、数多くのリアティ番組に出演し、彼自身のYouTubeチャンネルで動画のホストも務めていた。

Translated by Miki Nakayama

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