ケンドリック・ラマー、ラッパー史上初ピューリッツァー賞の音楽部門を受賞:「真摯な言葉で物語を綴った」

最新作『ダム』で、クラシックとジャズ以外のアーティストとして初の受賞者となったケンドリック・ラマー (Photo by Emma McIntyre/Getty Images for MTV)

2017年作『ダム』で、ピューリッツァー賞の音楽部門を受賞したケンドリック・ラマー。クラシックとジャズ以外のアーティストとしては史上初の快挙となる

ケンドリック・ラマーが最新作『ダム』で、ピューリッツァー賞の音楽部門を受賞した。クラシックとジャズ以外のアーティストが受賞するのは今回が初めてとなる。月曜に受賞者たちを発表した選考委員会は、『ダム』についてこう述べている。「当事者ならではの真摯な言葉と、リズミカルなダイナミズムによって束ねられた見事な曲群は、現代を生きるアフリカ系アメリカ人をめぐる複雑な状況を克明に描き出し、多くの人々の心を揺さぶった」

ラマーの4枚目のスタジオアルバム『ダム』は、芸術的かつ折衷した作品を発表してきた彼の最新作にあたる。同作のセールスはダブルプラチナムを記録しており、今年のグラミー賞では年間最優秀アルバムにノミネートされ、最優秀ラップ・アルバム部門では見事受賞を果たした。

昨年8月、ラマーは『ダム』の制作時におけるマインドセットについて、ローリングストーン誌にこう語っている。「当初の目標は、過去2作のハイブリッドのようなアルバムを作ることだった」彼はこう続ける。「優れたメロディを書き、一流のサウンドとリリックを高次元で結びつけようとした。頭の中で鳴っている音を具現化することで生まれてきた曲たちは、文字通り俺の一部なんだ。俺は4歳の頃から、音楽への情熱に突き動かされてきた。俺にとって永遠の命題は、それをどうやって作品に落としこむかってことだ。『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』から『ダム』へのトランジションは、一歩間違えれば大失敗になりかねなかった。ブレてしまわないためには、取り組むべきテーマを見極め、真摯な言葉で物語を綴っていく必要があった」

昨年はボブ・ディランが、ミュージシャンとして初めてノーベル文学賞を受賞したことが話題となった。ディランは授賞式を欠席したが、受賞スピーチを書面でスウェーデン・アカデミーに送り、後にストックホルムで行われたプライベートイベントにて賞金90万ドルを受け取っている。


Translated by Masaaki Yoshida

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