プリンセス・ノキアのEmo Trapの新解釈、オウテカの超絶セッションなど、ストリーミングで楽しむ10作品

エモやスクリーモをルーツに持つNYの次世代ラッパー、プリンセス・ノキア(from 『A Girl Cried Red』)

Emo Trapの新解釈を示したプリンセス・ノキアのEP、オウテカの超絶セッションを収録したシリーズ最新作、TAICOCLUBで来日するマウス・オン・マーズのニューアルバムなど、今聴くべき作品をローリングストーンUS版のライターが紹介。

1:プリンセス・ノキア『A Girl Cried Red』
ニューヨークのラッパー、プリンセス・ノキアが意表を突いてリリースしたこのEPは、Emo Trapムーブメントの彼女なりの解釈だ。まるでKレコードのアーティストのようなローファイ(「Look Up Kids」)から、カニエの『808s & Heartbreak』を連想させるオートチューン使い(「For the Night」)まで、重めのヴォーカルとともに悲しいポップソングを披露している。
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2:ティナーシェ『ジョイライド』
R&Bシンガー、ティナーシェの3作目。一触即発の危なさをはらんだシングル「ノー・ドラマ」、スピリチュアルな「2・オン」の続編「フェイデッド・ラヴ」を収録。
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3:オウテカ『NTS Session 2』
常に前向き思考のエレクトロニック・ミュージックのベテランたちが、大脳に刺激を与えるジャム・バンドと化したようだ。彼らがNTSラジオで行ったセッションが大きなブロックに4分割され、CD8枚セット/LP12枚セットになるまで順次リリースされる予定。本作はその第二弾となる。トレードマークの脳を混乱させる荒唐無稽さは保っているが、最近の彼らが尺長の曲に傾倒しているのがはっきりとわかる。人間らしからぬサウンド、メロディ、リズムはプログラミングコードを使って作っているようだ。この2時間弱の風変わりなセッションのどこまでがライブで、どれだけ事前に決められていて、どこが即興で、どこでAIが暴走しているかは、聴きながらじっくり考えるしかない。ハイライトと言える、淀みなくとうとうと流れる21分間のデストピア映画のシーンのような演奏(「Turbile Epic Casual, Stpl Idle」)は圧巻だ。
評:クリストファー・R・ワイガーテン
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4:ジェイソン・アルディーン『Rearview Town』
カントリー界のスーパースターとそのバックバンドは限界を押し広げたと、アルディーン自身がローリングストーン誌に語った。「今作には異なることがたくさん入っている。前2作は少しばかり……“自己満足”という言葉は使いたくないが、これが的を射た表現だ。とにかく、安全圏内での演奏に終始したと思う。今回の作品に収録された曲は“Dirt Road Anthem”や“Burnin’ It Down”のような面白さがあって、安全圏から一歩外に踏み出した曲に仕上がっているよ。ストライクゾーンど真ん中の速球だけじゃないってことだ」と、アルディーン自身が説明してくれた。
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5:マウス・オン・マーズ『Dimensional People』
アンディ・トマとヤン・セント・ヴェルナーは四半世紀に渡ってエレクトロニック・ミュージックの実験を続けてきた。今回のフルアルバムでは、ベイルートのリーダー、ザック・コンドンやアイルランドのフォークシンガー、リサ・ハニガンなどをMoM実験室に招いている。『Dimensional People』を構成する楽曲とその要素は、トマとセント・ヴェルナーがゲストたちのリードに身を委ねたおかげで、かなりの広がりを見せている。とはいえ、一貫性が持続されている背景には、各パーツに命を吹き込んでいる彼らの好奇心と、なめらかなカーブを描く音響がある。表題曲となっている組曲は3部構成で、ボン・イヴェールのリーダー、ジャスティン・ヴァーノンとザ・ナショナルのアーロン・デスナーとのエモーショナルなコラボレーションだ。
評:モーラ・ジョンストン
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Translated by Miki Nakayama

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