スカパラ谷中敦が自らに問う「正直な生き方」

Rolling Stone Japan vol.02掲載/Coffee & Cigarettes 04 | 谷中 敦(Photo by Kentaro Kambe)


谷中もおどけて「俺ら、(相手のことを)消さないよ(笑)」と言っていた。とはいえ、それは簡単なことではない。スカはいい意味でクセがある音楽だし、スカパラには世界でスカバンドとして認められているプライドもあるはずだ。自分たちの音を主張するのは簡単だろうが、それだと相手の個性を食ってしまうので、スカパラほど相手に寄り添うのが難しいバンドはいない。それなのにボーダレスな制作を15年以上続け、全てを唯一無二の見事なコラボに仕上げている。その秘訣を聞くと谷中はこう答えてくれた。

「愛情だよね。まずは共演をしてくれる相手への愛情。それからそのアーティストのファンへの愛情。あとは僕らスカパラのファンへの愛情もある。中には『あの人とはやってほしくなかった』って思う人もいるのかもしれない。そういうふうにファンを悲しませることはしたくない。だから、共演するアーティストのことをしっかり自分たちのファンにも紹介したい。その想いが音になると、相手も自分たちも消えないんだよね」



それだけではない。先述の通り、谷中は作詞も担当している。谷中いわく、詞はゲスト・ミュージシャンへの宛書がほとんどだそうだ。「相手に寄り添うと、媚びてるみたいに言う人もいるのかもしれないけど、自分の書きたいことを、歌ってくれるゲストのヴォーカルに似合うように仕上げることは別に無理でも媚びでもなく自然体でできるんだ。だって一番大切なのは結局楽曲だから」と、音楽と楽曲に対する愛も口にした。

谷中は音楽的に造詣が深いミュージシャンだが、同時に言葉・言霊の人だ。コラボレーション相手に器用に作詞ができる谷中はどこか職業作詞家のように見えるかもしれないが、会話をしていて感じるのは言葉の器用さよりも言葉の熱だ。しかも谷中の言葉はとても詩的なのである。実は、谷中とメールやLINEを交換すると、定期的に谷中の作った詩が送られてくる。その詩がなんとも素敵で、それを楽しみに待っている音楽業界の人間がたくさんいて、筆者もその一人だったりする。

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