ニール・ヤング、新作映画や自身の配信サイトについて語る:引退ツアーは「くだらない」

ーこのサイトを本格的に展開する計画はあるのですか?

それが一番大変な仕事だ。徐々に計画が固まってきているけど、たぶん2段階になると思う。有料会員になれば、会費の20%で他のサービスを利用できる。これは本当に安いよ。アーカイヴのもの全部を高解像度で入手できるんだからね。有料会員にならないにしても、最も人気のあるアルバムのトップ10とその情報を手に入れられる。

ーこれからはボックスセットなど、CDでのリリースはしないのですか?

いや、レコード会社から(ボックスセットの)ボリューム2をリリースしてくれと言われていて準備している。ほとんど完成に近いよ。ただ、10日ほど前にアート・ディレクターのゲイリー(・バーデン)が他界してしまった。彼とは半世紀も一緒に仕事をしてきたから本当に悲しいよ。このボックスセットも、彼がブックレットやカバーを担当することになっていた。彼の奥さんのジャニースが手伝ってくれて、アートワークを完成させることになっているよ。ほら、時代は刻々と変わっているだろう。でも、このボックスセットはCDだから、音質の妥協を強いられる。アーカイヴ・サイトの音質ほど良くないけど、物理的に所有できるという利点がある。ただ、この音源はスマートフォンでもストリーミングできるよ。DA変換回路内蔵のスマートフォンが1組あれば、これをライトニング・アウトプットにつなぐだけで、その場で24/192で聞こえてくるよ。

ー4月には1973年にロキシーで行った伝説のライブを収録した『Roxy: Tonight the Night Live(原題)』をリリースしますが、今、当時の演奏を聞いてどんな気持ちですか?

そうだな、俺がそこにいるって感じだよ。あのときの雰囲気を覚えている。演奏する楽曲が身体に染み込んでいたから自信に満ちあふれていた。1か月間スタジオでプレイし続けた曲だったし、毎晩、真夜中まで酒を飲みながら『今宵その夜』(原題:Tonight the Night)を演奏していたのさ。アルバムを最初から最後まで演奏したら休憩して飲む、飲んだらまた演奏するってのを繰り返した。そうやってあの雰囲気を作り上げていった。あのレコードの音楽自体はほぼ一晩でできあがったけど、自分が望む雰囲気を持たせるためには待つしかない。そして、待ちに待ったその雰囲気に包まれる瞬間が訪れたときに、やっと俺の音楽になる。俺はそれを掴み取って、人々と共有する。そして、人々は最高の音楽を体験できるんだ。

ーあのアルバムはあなたにとってつらい時期を象徴するものと言われてきました。あのアルバムを作る前にギタリストのダニー・ウィッテンとローディーのブルース・ベリーが7か月の間に相次いで亡くなったので。

あれは目覚めのきっかけとなった。あいつらをドラッグで亡くしたわけだから。それに目覚めは常に暗いとは限らないよ。あのアルバムはブルースさ。聞いたものを笑顔にする音楽だよ。

Translated by Miki Nakayama

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