ゴルフコースで出会った2人のカナダ人がフレデリックの人気曲をカバーするまで

USS:写真左からアシュリー・ブーツホルツ(Vo, Gt)、ジェイソン“ヒューマン・ケバブ”パーソンズ(Turntable)



─結構哲学的な話になりましたが、実はUSSというユニット名も、アシュリーが自分の将来を見つめ直しているときに思いついたものなんだそうですね。

アシュリー:そう。USSの正式名称は、「Ubiquitous Synergy Seeker」、つまり「至るところに存在する相乗効果を探す人々」という意味だ。人間というのはいろいろな物事をつい複雑に考えてしまいがちだけど、本当はとてもシンプル。結局のところ、自分が求めているものは全て自分の中に最初からある。そのことに気づくまでは、誰もが「Ubiquitous Synergy Seeker」ということだね。

─これは、実際にある言葉なんですか?

アシュリー:いや、僕が考えた造語だよ。当時僕は工場で働いていたんだけど、そんな自分にすごく不満を持っていて。「どうにかして自分を変えたい」ってずっと思ってたんだよね。で、たまたま事務所にあった辞書を手にした。自分自身が、どんな風になりたいのかを、頭の中で脚本を書きながらその辞書のページをパラパラめくっていた時に、目に止まった三つのワードを組み合わせたのが、「Ubiquitous Synergy Seeker」なんだよ。振り返ってみると、今の僕たちはそのときに思い描いた脚本通りに生きてこられたと思う。その道をたどる中で必要なものは、自ずと集まってきたような気がするんだよね。

─それまで自分自身に不満を持っていたあなたが、思い描いた脚本通りに生きられるようになれたのはなぜだと思います?

アシュリー:図書館という図書館に通い、教会という教会に通い、科学のテキストブックから自己啓発本まで読み漁り、滝や森や砂漠に行き尽くした(笑)。それで気づいたのは、「こんな自分はもうたくさんだ」と見切りをつけたところからが勝負だということ。全てを断ち切って、ゼロからコミットメントすることで本気になれたのだと思う。

ジェイソン:USSを結成してからの10年間で、僕らが伝えようとしてきたのはアシュリーのライフ・ストーリーそのものなのだと思う。そして、僕自身はUSSのメンバーとして音楽を奏で、ファンと交流し、いろんな場所へ行ったり、いろんな人たちと出会ったりする中で、また新しいストーリーを紡いでいる気がする。しかも、僕らの作品やライヴにレスポンスしてくれるファンの存在が、次の作品へのモチベーションにつながっているんだよね。

─まさに「Ubiquitous Synergy」、至るところに存在する相乗効果ですね。

ジェイソン:その通り。ただ、このプロジェクトの原点は、アシュリーそのものが「メッセージ」であって、僕はそれを届ける「メッセンジャー」ということだよ。例えるなら、モハメッド・アリとドン・キングみたいなものだね(笑)。いいボクサーにはいいプロモーターが必要だし、絵描きにはギャラリーが必要だ。

アシュリー:花にはミツバチが必要だしね。ジェイソンが太陽で僕は月。太陽は決して欠けることはないけど、月は満ち欠けがある。僕はそういうタイプだ。

ジェイソン:そう。そうやって助け合う相手がいてこそ「Ubiquitous Synergy」が生まれるんだ。性格も全然違うし、だからこそ良きパートナーでいられるのかもね。

─USSの活動で、ターニングポイントとなったのは、やはりTawgs Salterとの出会いだったのでしょうか。彼は「カナダのグラミー賞」と言われるジュノー賞の受賞者として知られています。

ジェイソン:そうだね。最初の2枚の音源は、曲作りからサウンド・プロダクションまで、全て彼に手伝ってもらったし、ラジオで流れるようになったのも、ツアーでアメリカからインドまで行けるようになったのも彼のおかげだ。USSのキャリアの第一段階は、彼に支えられていたと言っていいね。

アシュリー:きっと彼は、キャンバスに描かれた絵を、素晴らしい額縁に入れるための作業をしてくれたのだと思う。それに、ピンク・フロイド『狂気』のジャケットに書かれたプリズムみたいに、自分たちの力を一点に集中させ、より強烈なビームとして発射する役割を果たしてくれたのが彼だ。

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