チャールズ・マンソン:カルト指導者の遺体をめぐる争いの内幕

マイケル・チャネルズ

30年以上に渡る50通以上の手紙を通じ、チャネルズはマンソンの私生活をよく知っていた。このカリフォルニア出身の有名人記念品コレクターは、マンソンと交流のあった時期に約20回面会し、計200時間を共に過ごした。多くの資料を所有し、彼曰くマンソンに促されていたにもかかわらず、チャネルズはマンソンとの意外な友情についての本は出版しなかった。その代わり、Youtubeに2人の会話を未編集のままアップロードした。自分がマンソンに声を与えたのだ、と主張している。

チャネルズは、「マンソンを利用して利益を上げたことはない」と強調した。Youtubeページから収入を得ることはなく、マンソンの死の翌日には新たなアップロードを止めた。「今すぐにでも収益を得ることはできる」と彼は言う。「しかし私はやらなかった。彼は死んでしまい、もう声を上げることができない。人々はカネ目当てだと言いたがるが、お金のためではない」 事実、彼はマンソンのせいでお金を失ったという。彼は嵩む裁判費用に加え、マンソンのメガネや入れ歯などの代金を数年間に渡って支払っていた。

2002年の遺言書で財産の受取人に指名されているにもかかわらず、チャネルズは自身の希望ではないと述べている。「私は本当に遺言書に関わりたくなかった」と彼は説明する。「私は何も依頼したことはない。彼とは友人であり、それ故に裁判にかけられようとしている」

チャネルズによると、彼の起こした訴訟で唯一望むのは、マンソンの意志に従って遺体を火葬し、砂漠に遺灰を撒くことだという。

「私は嘘つきではなく、メッセンジャーだ」と彼は続ける。「メッセンジャーを撃ち殺さないでくれ」

マシュー・ロバート・レンツ

グレツキが遺言執行者となっている2017年版の遺言書がある。こちらでは、マンソンの財産はロサンゼルス在住のミュージシャン、レンツに遺すとしている。レンツは遺言書内でマンソンの息子として記述されている。彼は幼い頃に養子に出された。しかし1998年に面会した生みの母からは、彼女は1967年のサンフランシスコで乱交パーティ中に妊娠し、父親はマンソンだと信じている、という話を聞かされた。マンソンの検体を使った2回のDNA検査は、サンプルが汚染されていたために結論が出なかった。2012年、CNNがレンツとフリーマンのDNAを比較したところ、2人の家系は異なることが発覚した。コメントを求めたがレンツからの返答はない。

「マシューとマイケル・ブルンナーが、チャールズの件に関して迅速かつ適切な処置をするために協力する限り、現時点で介入する必要はないと考えている」とグレツキは説明する。「遺言書内にすべて明確に記述されているし、それはマシューの決断次第だった。個人的には、2人の息子たちがチャールズの遺体をうまく処理し、財産に関してはあまり気にしないでいてくれると嬉しい。私が既に明らかにしているように、チャールズの財産に何が含まれようが、(被害者団体へ)寄贈するつもりだ」

グレツキとレンツは、カーン郡裁判所へマンソンの遺体についての訴訟を起こしておらず、これは財産にのみ言及している2017年版遺言書と矛盾しない。

さらに、マンソンの子どもである可能性のある人間がいる。レベッカ・エヴァンズはデイリー・メール紙に、自分はマンソンの娘であり、財産権を主張したいと述べている。しかし彼女は、ロサンゼルス郡裁判所に起こされたどの裁判にも名を連ねていない。さらにウォルターズは、彼女がマンソンの遺体に関する訴訟をカーン郡へ起こしていないことも確認したという。

カーン郡の検死局に関して、ウォルターズによると彼のクライアントは、遺体の所有者が最終的に誰になるかは決めていないという。「我々はただ、適切な人のもとへ落ち着いて欲しいと願っている。我々が誰か特定の人を支持するつもりはない」


3月7日に何が起きるのか?

これが正式な裁判でなく、ケースマネジメントであることを考慮すると、ウォルターズは大きな進展を期待していない。フリーマン、ブルンナー、チャネルズの各代理人による口頭陳述もある。関係者間で何らかの合意が得られる可能性はあるが、ウォルターズはあり得ないと思っている。もし何も決議されなければ、さらなるケースマネジメントの場が設けられるか、或いは正式な裁判日が設定されるだろう。

「裁判所は、正式裁判へ進む前に、この遺言書が無効かどうか判断するだろう」とウォルターズは説明する。「その時にすべての主張が解決され、裁判所は私のクライアントに対し、どの人間に遺体を引き渡すべきか指示するだろう」

現時点で、3組の内フリーマンとブルンナーの2組は、検死局がマンソンの遺体を火葬することを了解している。従って、さらなる妥協案が生まれるかもしれない、とウォルターズは言う。

「恐らく関係者全員が3月7日に集合し、何らかの合意が得られるだろう」とウォルターズは言う。「もし全員で合意に至るのであれば、私は満足だ。グロテスクな観光名所を作るなんて話にさえならなければね」

※本記事は、3/6に掲載されたものです。

Translation by Smokva Tokyo

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