人類史上最低レベルの海氷量を記録:海に消え行く北極と南極の氷

NASAの研究チームが発表した南極における氷解写真:撮影2017年(Photo by Mario Tama/Getty Images)

2018年2月、我々の住む惑星が新たな転機を迎えた。現在の海氷の状態は、人類の文明が始まった約1万2000年前以降で最低のレベルにある。

今懸案の新事実は、海氷の量が、人類の文明が始まって以来で最低のレベルにあるということだ。最近は気温上昇が、地球で最も寒い極地に継続的な変化を与えている、という兆候がみられる。新たな最低記録は、地球の気候システムが、比較的安定していた時期から変化してきたことを示している。安定していた時期には、都市が発展し、商業が栄え、現在の我々の生活様式の成立に貢献していた。

2018年に入って今までのところ、両極地とも著しく気温が高い。人が恒久的に居住する北限とされるノルウェーのスヴァールバル諸島では、ここ30日間の平均が通常よりも6℃以上高い。2018年1月、1隻のタンカーが砕氷船の助けを借りずに初めて冬の北極海を横切った。一方の南極海では、夏の風が近づくにつれ、海氷が3年連続でほとんど消滅している。

極地の海氷の減少は長い間、地球温暖化による最も重要な転換点のひとつとみなされてきた。明るい白色の氷が溶けると、熱を吸収しやすく反射の少ない海水が表面に出る。さらに残念なことに、温暖化の新たなサイクルを促進してしまう。

2017年秋に発表された研究によると、そのサイクルは、北極の氷の溶解を助長する主原因だと思われるという。つまり、永久的な海氷の終焉の始まりを示している。気候や生態系の極端な変化など広範囲に渡る変動は、既に遥か北極の地で捉えられている。

現在地球上は1600万平方キロメートルの海氷で覆われているが、1990年代の同時期と比較して約260万平方キロメートル減少した。最低を記録した2017年から、さらに数万平方キロメートル少ない数字である。地球の両極の状況は、比較的新しく始まった宇宙からの観測により、詳細に知ることができる。両極をモニタリングしている衛星は、1978年以降の海氷データしか記録していないが、このように記録的な海氷の量の少なさは、長い間見られなかったことは間違いない。

Translation by Smokva Tokyo

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