ボウイのギタリスト、ミック・ロンソンの人生を描くドキュメンタリーが公開

デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンのドキュメンタリー『Beside Bowie: The Mick Ronson Story』が公開された。 (Photo by Jack Kay/Daily Express/Getty Images)

Huluでストリーミングされたザ・スパイダーズ・フロム・マーズのギタリストのドキュメンタリー『Beside Bowie: The Mick Ronson Story』は、ボウイのレガシーや伝説を作ったキーパーソンとしてのロンソンの評価を復活させた。

デヴィッド・ボウイが他界する約3年前のことだ。世界を売った男ボウイは、スパイダーズ・フロム・マーズのギタリスト、ミック・ロンソンの思い出を録音するためにテープレコーダーに向かって語り始めた。ロンソンの妻スージー・ロンソンのたっての願いで、ボウイは急いで録音することにしたのである。スージーはかつてボウイの専属美容師で、ジギー・スターダストのオレンジ色のヘアスタイルの生みの親でもある。この時点でロンソンが他界してから20年が経過していた。ボウイの熱狂的なファン以外は、ロンソンがポップ・ミュージックに多大な貢献をした事実をほとんど知らない。ロンソンの妻スージーはそんな状況を打破したかったのだ。「当時、デヴィッドはスージーがドキュメンタリー制作に賛成しないかもしれないと心配していた」と映画制作者ジョン・ブルーワーが言う。「そこで彼は彼女のために、ほとんどナレーションのように聞こえる音声を録音したんだよ」

スージー・ロンソンはボウイの録音テープと数多くの生フィルムをブルーワーに委託した。ブルーワーはかつてイエスからミック・テイラーまで担当したロック系の敏腕マネージャーで、1970年代はザ・シン・ホワイト・デュークのマネージャーまでやっていた。しかし、近年のブルーワーはロック・ドキュメンタリー作家として成功しており、『B.B. King: The Life of Riley』や『Nat King Cole: Afraid of the Dark』などを制作している。さらに、ブルーワーはマネージャーとしての経歴からボウイの人生を知り尽くしていて、ボウイとの歴史はデヴィッド・ジョーンズ時代、つまり1970年にアルバム『世界を売った男』(原題:The Man Who Sold The World)がリリールされた頃、後のデヴィッド・ボウイがデヴィッド・ジョーンズとしてアメリカでのブレークを画策するも失敗した時まで遡る。もちろんロンソンとも顔馴染みで、ロンソンのストーリーを大きなスクリーンで紹介したいというスージーの夢も実現したいと思っていた。それが『Beside Bowie: The Mick Ronson Story』というドキュメンタリー映画になり、現在Huluでストリーミングされている。(※日本での公開は未定)



Translated by Miki Nakayama

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