ケヴィン・シールズ日本独占インタビュー後編、「老い」とは別バージョンの自分になる感覚

ケヴィン・シールズ、2013年2月のマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン大阪公演にて(Photo by Takanori Kuroda)


日本のオーディエンスは、どの国よりも爆音を楽しんでくれる

─すみません、約束の取材時間をとっくに過ぎちゃったんですけど、あと2、3問くらい訊いてもいいですか?

ケヴィン もちろん、いいよ。

─ありがとうございます。今回、日本でのライブが世界のどこよりも早く発表されて、日本のファンはとっても喜んでいます。

ケヴィン 最初にオファーをくれた国の一つだったからね。その後、4つ5つ、フェスの予定が加わっているんだけど、それはこれから発表されると思う。

─日本に対する印象ってどんなものですか?

ケヴィン 最初に「コネクト出来た(通じた)」と思えたのが、日本のオーディエンスだった。僕らと同じレベルで音楽を楽しんでくれているというか、「You Made Me Realise」のあの部分を、どの国の人たちより僕らと同じように楽しんでくれている。僕らがありのままに音楽を演奏すると、時には相手を怒らせてしまうことがあってさ。

─ふふふふ(笑)。

ケヴィン マジな話、アメリカ辺りで演奏していると、最終的に半分くらいのオーディエンスが帰ってしまうこともあった。しかもプロモーターと揉めたり、会場や近隣から苦情が来たりすることも結構あるんだ。それってアメリカだけじゃなくて、カナダやヨーロッパ、イギリスでさえあるんだけど、日本ではまだ一度もない。プロモーターもオーディエンスも喜んでくれる国なんて、日本くらいしか思いつかないよ(笑)。もちろん、最初に僕らを理解してくれたのはロンドンの人たちで、そのあとアメリカ、そして日本という順番でファンが増えていったんだけどね。で、「僕らの音楽を、こんなふうに楽しんでくれたら嬉しいな」っていう目論見に、最も忠実に反応してくれたのが日本のオーディエンスだったわけ。こんなに音を馬鹿デカくしても、誰も怒らないし(笑)。

─そう言ってもらえて光栄です。

ケヴィン あ、今思い出した。アメリカに初めて上陸したとき、まだオーディエンスが300人にも満たない頃だったと思うんだけど、そこでやったときの印象よりも、日本に初めて行ったときの方が、レコード会社の人たちも含めて「あ、この国の人たちは分かってくれてるな」っていうふうに感じた。一言でいえば、「やりやすい国だ!」っていう印象だったんだ。まあ、とにかく僕らは音のデカさ故に、必ず何かしら揉め事が起こる(笑)。いろんなクラブやフェスで演奏したけど、例えばパリでは、プロモーターが警察を呼んで僕らのツアー・マネージャーが逮捕されたこともあったよ。

─ええっ!?

ケヴィン カナダでは、会場の近くに住んでいた人が、肉切り包丁を持って来て「電源を切ってやる!」って騒いだこともあったな。「あまりの爆音に、家がガタガタ揺れてたまったもんじゃない」って(笑)。そういう環境と比べるのもなんだけど、日本ではいつも最高のファンの前で演奏しているって思っているよ。


「ノイズ・ピット」と呼ばれる「You Made Me Realise」での轟音パートは、MBVのライブにおける定番。過去の来日公演では耳栓も配られた

─ちなみに今回のライブは、前回と違う見どころ、聴きどころはありそう?

ケヴィン おそらく、新作のフレイヴァーが入ってくるだろうね。今後の進展にもよるから細かい説明をするのは難しいけど、全体的に今までよりもルーズというか、なりゆきに任せる部分が多くなるかな。僕らはいつもライブでは、パンクロック的な集中力を発揮していたと思うんだけど、今回そこを少し拡大解釈して、ゆるく構えてもいいのかな?と思ってる。

─最後の質問です。ここ最近はどんな音楽を聴いているのでしょう。例えば、「2017年に最もよく聴いたアルバムは?」と訊かれたら、なんて答えます?

ケヴィン うーん、難しいな。2017年ということで言えば、一番よく聴いたのは『Isn’t Anything』と『Loveless』かな。

─(笑)。それだけリマスタリングに打ち込んでたんですね。

ケヴィン そう。アナログ盤のクオリティチェックをしたくて、メインストリームのアナログ盤もよく聴いていたよ。ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』とか。あまりいい音とは思わなかったけどね。と言うのも、アナログ盤って、カッティングをするプレス工場によっても音が変わってしまうし、ノイズが入ることもある。

そんな中で別格だったのは、やっぱりビートルズ。いろいろ聴いたけど、彼らのモノボックスセットはダントツでハイクオリティだった。考えてみれば他のアーティストって、ボックス盤を出したときに必ずムラがあるんだよ。「これはいいけど、こっちはどうだろう?」みたいな。でも、ビートルズのモノレコードは、どれも安定してクオリティが高かったな。あと、純粋に「楽しむ」ってことだけで言うと、まあ新しい音楽も含めて一通り何でも聴くのだけど、どれも楽曲単位でしか聴いていないし、「このアルバムがすごい!」っていうふうに集中して聴いたものはなかったかもしれない。

─5年前に来日した時は、スクリレックスのアルバムとダフトパンクの『Random Access Memories』がお気に入りとおっしゃっていましたよね。フジロックでは、コルムも一緒にテーム・インパラのライブを観に行きました。

ケヴィン そうだったね。その辺りでいうと、昨年はグライム・ミュージックを楽しんで聴いてたかな。リズムがユニークで興味深かったよ。

─ありがとうございました。また夏に会えるのを楽しみにしています!

ケヴィン うん、もちろん。またね!



SONICMANIA 2018
2018年8月17日(金) 千葉・幕張メッセ
http://www.sonicmania.jp/2018/

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン OFFICIAL HP
https://www.mybloodyvalentine.org


Translated by Kazumi Someya

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事