ケヴィン・シールズ日本独占インタビュー前編、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが提示する「新たな音響体験」の真相

ケヴィン・シールズ、2013年2月のマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン大阪公演にて(Photo by Takanori Kuroda)


今回のアナログ・リマスターは、これまでの音とどう違うのか?

─となると、この2枚のアルバムに取り憑かれたファンとして気になるのは、「アナログ・リマスターはこれまでとどう違うのか?」なのですが、ずばり聴きどころは?

ケヴィン まず、温かみのある音になった。高域の硬いところが丸くなって、それが僕には魅力的だね。とにかく、体感として全く違うと思う。例えば、今回のアナログ・リマスターを聴いたあとにデジタルを聴いてみると、やっぱり音が「bright」で「hard」で「strong」に感じる。それに対し、アナログ・ヴァージョンは深みがあるというか、立体的だし多角的なサウンドだと思うんだよね。それに、自分が当時レコーディングしたときの音に近い。自分にとって「聴き馴染みのある」サウンドだという安心感があるかな。

─「Only Shallow」のギターレイヤーや「To Here Knows When」のギターサウンドには、かなり満足しているともおっしゃっていますよね。

ケヴィン より生々しく、よりライヴなサウンドになった気がする。さっき君が言ったように、デジタル盤が間違っているわけではないし、デジタルにはデジタルならではの「完璧さ」もあるんだけど、でも「To Here Knows When」のギターは一層へヴィーに響いていると思うよ。



─それは、今から聴くのが楽しみです。この2枚と再びじっくりと向き合ったことで、どんな気持ちが湧いてきましたか?

ケヴィン そうだなあ、これはすごく説明が難しいかも知れない。というのも、今回リマスタリングするにあたって、いくつもの別ヴァージョンを作ったんだよ。聴くたびに違うアイディアが浮かんできてしまうし、気になる部分も日によって変わってくる。それを一つずつ試していたからさ。しかも、どのヴァージョンも捨てがたくてね……(笑)。「これは完全なボツ」って思うヴァージョンは一つもなくて、それぞれに良いところ、興味深いところがあった。

─特に大変だったのは?

ケヴィン 『Loveless』に関しては、とにかく「バランス」を取るのが大変だった。さっきギターがパワフルになったと言ったけど、それで興奮してたら今度はヴォーカルが小さすぎて、バックに埋もれ過ぎてしまう(笑)。かと言ってヴォーカルがすごくクリアに響いても、今度はギターがソフト過ぎる印象になってね。ただ、そこで変に妥協してしまうと、せっかくアナログで出すのにCDより劣るものになってしまうだろ? 少なくともCDと同じか、それ以上のクオリティに仕上げるため、バランスにはとにかくこだわった。今回のアナログ・リマスターは、「100%満足のいくミックスバランス」とは言えないけど、おそらく僕らが90年代当初に目指したものにはなったね。

Translated by Kazumi Someya

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