「民主主義が脅かされている」グラミーで見せたU2の姿勢

自由の女神をバックにパフォーマンスしたU2

自由の女神をバックにハドソン川でパフォーマンスを披露したU2。政治的信条を体現した揺るぎないメッセージ。

2018年のグラミー賞授賞式で、U2は政治色をさらに濃くした「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」を披露した。極寒の中で演奏する彼らの後ろにはライトアップされた自由の女神が威厳をたたえて立っている。U2はこのライブ演奏を26日夜、ハドソン川に停めた小型船の上で事前に収録していた。

パフォーマンスでは、闘いを呼びかける「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」の本質的なメッセージが自由の女神とともに一層強調され、民主主義の現状に対する警告が発せられた。「自由の顔にヒビが入り始めた、その顔に平手打ちをくらうまで、彼女には計画があった」とボノが歌う。その間、アダム・クレイトンのベースラインがエンジンのように鳴り響いてこの曲を牽引し、ジ・エッジはお馴染みの空中を漂うようなギターリフを弾き、要所要所で入るラリー・マレンのシンバルがリズムに変化をつける。

パフォーマンスの最後にボノは星条旗柄の拡声器を取り出して「弱い者いじめをする連中が祝福されている。1日だけでも連中が自らに立ち向かうことになるときが来るだろう」と叫び、後ろでトーチを掲げる自由の女神のようにボノは拡声器を持った右手を高く上げてパフォーマンスを終えた。

「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」はチャートで1位になった2017年のアルバム『ソングス・オブ・エクスペリエンス』に収録されている。実はこのアルバムは今年のグラミー賞に参加する資格を持っていない。グラミー賞のノミネート作品は9月30日以前リリースされた作品でなければならないのだが、このアルバムがリリースされたのはそれ以降だったせいだ。『ソング・オブ・エクスペリエンス』は2014年の『ソング・オブ・イノセンス』の続編であり、スピリットを引き継いだ作品と言える。ちなみにアルバム『ソング・オブ・イノセンス』は2017年度のローリングストーン誌が選ぶベスト・アルバム50枚の3位にランクインしている。

デビューから現在まで、U2はグラミー賞で47回ノミネートされ、22回受賞している。直近の受賞は『ソング・オブ・イノセンス』で受賞した2015年の最優秀ロック・アルバム賞と、『ヨシュア・トゥリー』で受賞した2016年のグラミー殿堂賞である。

2017年のU2は1987年にリリースされた大ヒット・アルバム『ヨシュア・トゥリー』の発売30周年を記念する長期アリーナ・ツアーで明け暮れた。そして2018年は5月2日のオクラホマ州タルサを手始めに、2015年のイノセンス+エクスペリエンス・ツアーの後半戦が始まる予定だ。

Translated by Miki Nakayama

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