第60回グラミー賞、ケンドリック・ラマーとU2による驚きのパフォーマンス

第60回グラミー賞で強烈なパフォーマンスを披露したケンドリック・ラマー (Photo by Kevin Winter/Getty Images for NARAS)

第60回グラミー賞授賞式では、ケンドリック・ラマーとU2のボノ、ジ・エッジが再集結してメッセージ性の強いメドレーを披露した。

背景ではためくアメリカ国旗の前に並んだ兵士たちが足を踏み鳴らしてオープニングのパフォーマンスが始まった。平然と立ちつくしながら「XXX」のライムを歌うラマー。ラマーのライムが徐々に活気を帯びると、ボノとエッジが堂々とステージに登場してヴォーカルとギターを披露。「これはケンドリック・ラマーの皮肉」という言葉で背後のスクリーンがフラッシュする。そしてシャペルが登場して「よう、俺はデイヴ・シェペルだ」と無表情で自己紹介した。「観客のみんなに思い出して欲しいのが、“アメリカの黒人男が正直になる”よりも恐ろしいたった一つのことが、“アメリカで正直な黒人男になる”ってこと。邪魔してごめんよ」

そして一人の女性がドンドンと鳴らし続ける太鼓に合わせて、ラマーが「DNA」とジェイ・ロックの「King’s Dead」の内蔵をえぐるような歌詞を繰り出した。そして、このパフォーマンスは銃の発砲音に合わせてダンサーが一人ひとり舞台に倒れ込むという、驚きのエンディングを迎えたのである。

今年のグラミー賞でのラマーは、アルバム『ダム』で最優秀ラップアルバム賞、最優秀アルバム賞を含む7部門でノミネートされた。このアルバム『ダム』はローリングストーン誌が選ぶ「2017年ベスト・アルバム」50枚の第1位に選出されている。また、同作のリード・シングル「ハンブル」は最優秀レコード賞、最優秀ラップ楽曲賞、最優秀ラップパフォーマンス賞、最優秀音楽ビデオ賞にノミネートされ、リアーナをフィーチャーした「ロイヤルティ」は最優秀ラップ歌唱パフォーマンス賞にノミネートされた。

カリフォルニア州コンプトン出身のラマーは2016年のグラミー賞授賞式でも政治色の濃いメドレーを披露している。その中には高い評価を得た2015年のアルバム『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』収録曲が2曲含まれていた。2016年のグラミー賞では、同年の最多ノミネート・アーティストとして11部門でノミネートされ、最優秀ラップアルバム賞を受賞した。

ラマーとU2は近年数多くの楽曲でコラボレーションしている。ラマーはU2のアルバム『ソングス・オブ・エクスペリエンス』収録の「アメリカン・ソウル」をサンプリングして、自身のアルバム『ダム』収録の「XXX」で使っている。また、ラマーはU2の同アルバム収録の「ゲット・アウト・オブ・ユア・ウェイ」のエンディング部分に短いモノローグを提供している。


デイヴ・シャペルのコメディを合間に挟んだ「ダム」のラッパーのオープニングにボノとジ・エッジが合流

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE