追悼マーク・E・スミス、その軌跡をザ・フォールの10曲とともに振り返る

デビューEP以降、ザ・フォールのサウンドは抽象的になり、1979年リリースの彼ら初のフルアルバムでライブ・アルバムの『Live From the Witch Trials』から1982年リリースの4枚目のLP『Hex Enduction Hour』まで、一貫してポストパンク的なサウンドが展開されている。この頃のスミスはバンドメンバーとともに、ありとあらゆるノイズの作り方やモノローグの方法を試していた(1979年の曲「Your Heart Out」でスミスは「俺は歌わない、叫んでいるだけだ」と公言している)。



"Eat Y’Self Fitter" (1983)


"C.R.E.E.P." (1984)


Mojoのインタビューで「どんなふうに歌詞を書くのか?」と聞かれ、スミスは朝起きてすぐにやると答えている。曰く「判事と同じくらいシラフだからね」。そして続けた。「歌詞の半分はそうやって書く。スタジオでも書けるよ。エンジニアがトラックを再生している間に1時間で出来上がることもあるし、30分で完成することもある」

フォールの音楽は1983年リリースのアルバム『Perverted by Language』まで止まることなく発展し続けた。このアルバムの前に数年間続いたメンバー・チェンジをやり過ごし、本作でアメリカ人ギタリストのブリックス・スミスが加入した。マーク・E・スミスがブリックス・スミスと出会ったのは1983年の初めに行ったシカゴでのライブ。恋に落ちた2人は同年7月に結婚する。ブリックスは1990年代をフォールとともに過ごし、離婚をきっかけにバンドを去ったが、90年代半ばの一時期バンドに戻っている。「(スミスは)バンドの周りにエネルギッシュな空気を生み出すのが本当に上手かったの。みんなの緊張感を保たせることもね」と、ブリックス・スミスが過去に語っている。「彼の狂気にはしっかりとした方法論があったわ。そうやってバンドが機能していたわけ。私たちはU2みたいじゃなかったから」

Translated by Miki Nakayama

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