世界を制したエド・シーランの「現実」と付き合う方法

4月に来日するエド・シーラン。ローリングストーン誌 2017年3月23日号のカバーストーリーにて( Photograph by Peggy Sirota)

4月に来日公演を行うエド・シーラン。ここではローリングストーン誌 2017年3月23日号のカバーストーリーをノーカットで掲載する。密着取材でパーティをともにしながら、テイラー・スウィフトや本物の愛などについて話を聞いた。かつては世間のはみ出し者だったシンガー・ソングライターのエド・シーランは、今では大酒飲みのスーパースターになっている。だが、彼が本当に求めているのは普通の生活だ。

※本記事は、2017年3月23日号の掲載記事のため、時制に関しては原文(当時)のまま掲載しております。

「最後は僕の家だ!」と、SUVに乗り込みながらエド・シーランが叫ぶ。ちょうど日付が変わったロンドンの夜のことだ。彼はその日の夕方をバーで過ごした。お馴染みの赤毛をボールキャップで隠していても、周囲の人々は彼に気付き始める。バーのDJは彼の曲をプレイし、彼の友人たちは彼を囲むように人間の壁を作って、落ち着いて飲める空間を確保する。そんな状況に気が気でなくなったシーラン。このまま飲み続けるため、ウェスト・ロンドンにある彼の自宅に早々に移ることにしたのである。

今夜のシーランはお祝いモードだ。それというのも、彼の新作『÷』(ディバイドと発音する)収録のファンキーで小洒落た曲「シェイプ・オブ・ユー」が、もうすぐ彼にとって初の全米ナンバーワンヒットに上り詰めることが確実なのだ。私たちは彼の恋人のチェリー、そして若干13歳でファーストアルバム『The Spinning Man』をリリースした頃から彼を見守り続けている旧友ザック、ネイサン、キャサリンに誘われて、この飲み会に参加している。現在25歳になったシーランは「あのアルバムは合板レベルだよ。ゴールドじゃない。100枚売ったけどね」と冗談を飛ばす。


2017年2月14日
ロサンゼルスにて撮影されたエド・シーラン

今夜のシーランはガンガン飲み続けている。ディナー中にエスプレッソ・マティーニとラムパンチのショット、バーではジントニック。今日は私の誕生日だ。それを知ったシーランは、私のスマホを取り上げ、私と一緒のツーショット写真を撮り、私のインスタグラムにアップし、そのポストに「これが俺のBDの楽しみ方 #ロンドン #ハッシュタグ #信じる #達成する #インスピレーション」と書いたのだった。さらに、「ナナナナ、ヘイヘイヘイ、お前は意気地なし」で終わる酒宴の歌を歌いながら、友だちにパイントグラスのビールを一気飲みさせている。

Translated by Miki Nakayama

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