世界を制したエド・シーランの「現実」と付き合う方法

4月に来日するエド・シーラン。ローリングストーン誌 2017年3月23日号のカバーストーリーにて( Photograph by Peggy Sirota)


3週間前にロンドンで会った後のシーランはずっとプロモ・ツアーを続けている。イギリス、ノルウェー、ドイツ、フランス、アジア、オーストラリア。オーストラリアではラッセル・クロウの自宅に泊まったと言う。「彼は自分専用のパブを持っていてさ」とシーラン。「俺はヘベレケで、彼がジンを1本空けたのに気づかなかった。もちろん彼もヘベレケさ」。朝の8時にちょっとした事件が起きた。シーランがベッドから起き出して徘徊し、毒蛇がいる草むらにいたのだ。チェリーはアイスランド事件の二の舞いを恐れた。「彼は草むらに入って、茂みの中に落ちたの」と彼女が説明する。

このときは無傷で脱出したが、シーランはこういった逸話に事欠かない。2013年のナッシュビル。彼は午前4時にビール瓶2本でドラムを叩く真似をした。この翌日はアリーナでのライブが予定されていた。ビール瓶でテーブルを叩くと、大きなガラスの破片が右手に刺さったのだ。1ミリずれていれば神経を切断していた。

そして例の傷。ウィンザー城の近くにあるロイヤル・ロッジで開催されたベアトリス王女主催のパーティに参加したシーランは、式典で使う剣で遊び始めたのである。実は、この話はちょくちょく内容が変わる。犯人がベアトリス王女だと言う人もいれば、シーラン自身はジェイムス・ブラントだと言うのだが、とにかく誰かがシーランの右の頬を切りつけてしまったのだ。「彼は病院に運ばれて手当を受け、パーティの続きをやるためにロイヤル・ロッジに戻ってきた」と、ある友だちが教えてくれた。「みんな、もう就寝していたものだから、彼は『おいおい、マジかよ! 俺はこのパーティのために流血したっていうのに、みんな、もう寝ちゃってるのか?』って言っていた」

「彼は本当にどうしようもなくわんぱくになることがあるんだ。私が若い頃に彼がいなくて良かったよ。だって、もしあの頃に彼がいたら、間違いなく2人で3週間ぶっ続けで乱痴気騒ぎしていたはずだから」と、30年近く禁酒しているエルトンが言う。「彼はドラッグはやっていないが、酒好きだし、本当に楽しい男だよ」

さっき注文したテキーラ5ショットとジュースを混ぜた飲み物がきた。シーランは一気に飲み干して、2杯目を注文する。そして、もうすぐ東京へ行くと言う。彼がビーバーと知り合ったのが東京なのだ。彼らは場末の怪しげなバーでカラオケを歌い、ビリヤードをやった。「彼はとてもいい状況だ。ちゃんとシラフで、現実を分かっている」とシーランが言う。「以前とは180度違う。わがままセレブ的な言動は一切ないし、それが彼によく合っているんだよ」

シーランは自分が飲み過ぎだとおもっているのか? 「俺だって『ほとんど毎日飲むってヤバいかなぁ?』って思うことがよくあるよ。でも周りの友だちを見ると、連中も俺と同じだし、実際は俺よりひどい。アメリカ人が最初に言うことが『君は問題を抱えているからリハビリに行かなきゃダメだ』さ。でも、俺は寝起きで飲んでいるわけじゃないし、酒に頼っているわけでもない。酒がなくたってまったく問題ない。俺は外に出掛けて楽しんでいるだけだ。25歳らしくね。これって普通だと思うよ」


Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE