世界を制したエド・シーランの「現実」と付き合う方法

4月に来日するエド・シーラン。ローリングストーン誌 2017年3月23日号のカバーストーリーにて( Photograph by Peggy Sirota)


ツアーがない週末のシーランは大抵フィールドホッケーを観戦している。チェリーは2014年までデューク大のフィールドホッケー選手だった。彼女は2016年にシーラントと一緒にロンドンに引っ越してきて、ウィンブルドン・ホッケー・クラブと契約した(イギリスでのフィールドホッケー人気は相当なものだ)。平日は金融コンサルタントとして働いている。自慢気にシーランが言う。「普段の彼女は世界で一番ナイスな女性だけど、フィールドでは野獣になるんだぜ」

ある土曜日、シーズン最初の試合を観るため、シーランはオックスフォード・ホークス・ホッケー・クラブでフェンス近くの席で数人の親たちと話していた(一人が「音楽では何が好き?」と聞いてきたらしい)。

背番号17番のチェリーがシーランに走り寄り、キスし、2人だけの秘密の握手をする。初めてのデートは、吃音のNPO団体American Institute for Stutteringの祝祭でシーランが賞を受ける授賞式だった。「あれは結構つらいイベントだったよ」とシーラン。「会場に集った子供たちの多くが、とにかく言葉を話せなくてね」。2回目のデートはアデルのマネージャーの誕生日パーティだった。そこでシーランはチェリーを2〜3時間一人にして、あることを試してみた。シーランがその理由を説明する。「俺と付き合う上で大事な点が、かなり社交的で、人と話すのが上手じゃなきゃダメってこと。だって俺はパーティやイベントの最中にあちこちに引っ張って行かれることが本当に多いから。その点、チェリーは完璧だよ。誰とでも仲良くなっちゃうからね」

試合の後、シーランはチームのクラブハウスへと移動した。皿を持ち、ポテト、豆、チーズをのせ、食べながらクルーに向かって派手に親指を立てて見せた。彼がもうすぐ皿の上の料理を半分食べ終わるというところで、他のチームの選手がどっと入ってくる。女子高校生だ。シーランがいるテーブルのすぐ側に彼女たちの小さなグループがいくつもできている。会場にいる全員が「どうしてエド・シーランがここにいるの?」と不思議がっている空気が流れる。「すぐにここを出ないといけないな。撮影されちゃうから」と言い、すぐにシーランはキャップを目深にかぶり、下を見て、歩いて会場を出る。「学校のスポーツチームが全員集合しているって気づいたのさ。あれはマズい状況だよ」と、車に戻ったシーランが説明する。

この類いの注目にシーランは少し恐怖を感じるし、最近はもっと奇妙はプライバシーの侵害と対処し続けているのだ。少し前のことだ。一人の警察官が彼の車を止めて、写真を撮りたいと言ってきた。自宅の庭でドローンも見つけた。40人で構成されている自分の仕事チームの中に、メディアに情報を売っている人間がいることも確信している。「それが誰か見つけ出したいよ」と彼。そして最悪な状況が既に始まっていると言う。「空から撮影している連中がいるんだよ。これはマジで心配だ」。この心配を忘れる唯一の方法が酒を飲むことなのだ。

「ホワイト・テキーラはあるかい?」。ニューヨークのレストランでシーランがウェイターに尋ねた。「パトロン以外でね」。ウェイターがあると答えると「じゃあ、テキーラ5ショットとパッションフルーツ・ジュースを1ショット、よろしく。テキーラは氷に入れて少し冷やしてから、アイスを入れたジュースの上に注いでくれ」。ニューヨークのABCキッチンのウェイターが戻ってきて、パッションフルーツ・ジュースがないので、売っている近所の店までスタッフを行かせたと言う。

Translated by Miki Nakayama

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