世界を制したエド・シーランの「現実」と付き合う方法

4月に来日するエド・シーラン。ローリングストーン誌 2017年3月23日号のカバーストーリーにて( Photograph by Peggy Sirota)


あっという間に彼の自宅に到着した。そこは5階建てで、レンガ作りの壁に板張りの床の倉庫風の空間で、彼独特の趣味がそこここにが加えられている。寝室にはポケモン・キャラクターのヒトカゲのぬいぐるみ、居間にはベニー・ブランコの頭部の形をしたマリファナ用水キセルがある。ここにはレコーディング・スタジオ、ジム、大きなバーカウンターも併設されていて、つい最近、ここでお気に入りのドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の出演者たちを何人も招いて楽しませた。到着するとシーランは、「乱痴気騒ぎをしたい」人たち用に幾つかの寝室を提供し、自分は飲み物を作り始めるのである。

ジャスティン・ビーバーという例外はあるものの、シーランは現存する最も有名なポップスターだ。しかし、彼はヒット曲の量産を全力で拒否している。パブフード三昧、午前3時のビリヤード、夕食での強い酒、衝動的な決断と、彼の人生は混沌としている。「ウェディングバンドが必要なら……」と、会ってすぐの私に恋人がいると知った途端に「俺は『仕事がなければ無料だよ』っていつも言うんだ。大量の酒とベッドを準備してくれたらね」と言う(その後たった一晩で、実際に彼が結婚式でプレイした友人に、少なくとも3人は会うことになる)。彼には人や物事に対するフィルターが一切がない。「まいったね、上の階に凄いウンコがあったけど、アレ、誰がやったんだよ?」と、トイレから走り出てきたシーランは、友人の一人が自白するまで聞き続けるのだ。


エド・シーランのローリングストーン誌表紙撮影の舞台裏

名前が知れ渡るにつれて、シーランにとって、わずかに残った普通さに執着することが重要になっている。彼が頻繁に出歩く飲み仲間は昔からの友だちだ。そんな友だちのことを新しいシングル「キャッスル・オン・ザ・ヒル」で歌っている。イギリスのサフォークで過ごした反抗的な高校生活に対するオマージュだ。

Translated by Miki Nakayama

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