デヴィッド・ボウイが残した傑作映像25選

『ジョン、アイム・オンリー・ダンシング』(1972年)


ロックの世界でミュージックビデオが定着する遥か前に制作された、ミック・ロック監督による低予算作品。まばゆいオレンジ色のルースターヘア、レザージャケット、赤いマニキュア、つけまつ毛、「Hello, sailor!」という吹き出しが見えるかのような頰の碇のタトゥーをまとったボウイが妖艶な魅力を放っている。リンゼイ・ケンプによるマイムのシーンが「きわどすぎる」として、本映像は『トップ・オブ・ザ・ポップス』での放送を禁止された。

『ジーン・ジニー』(1973年)


本作でセクシーなダンスを披露しているシリンダ・フォクシーは、70年代前半に究極のニューヨーク・ボウイ・ガールと呼ばれ、ボウイは彼女を「マリリン・モンローの後継者」と評した。まばゆいブロンドヘアの彼女は、後にスティーヴン・タイラーとデヴィッド・ヨハンセンとの結婚を経験しているが、ボウイに靴の選び方と「うんと高いハイヒールは『ファック・ミー』のサイン」であることを教えたとして、ボウイの女性ファンたちから尊敬の念を集めている。

『火星の生活』(1973年)


1971年発表の同曲が時間差でヒットしたことを受けて制作された本ビデオは、ミック・ロックが監督を務めている。他には何も必要ないと言わんばかりに、本映像ではターコイズのロングスーとピンクの口紅、そして過剰なブルーのアイシャドウをまとった悲しい目のスペース・ボーイが、ホワイトスクリーンをバックに淡々と歌い上げる。悲しみが積もっていくかのように、楽曲の展開とともに映像の色合いが微妙に変化していく。

『The 1980 Floor Show』出演時の『アイ・ガット・ユー・ベイブ』(1973年)


アメリカのTV番組『The 1980 Floor Show』でのボウイのパフォーマンスは完璧だった。そのフィナーレで、赤のビニールのコルセットと黒の羽をまとったボウイは、修道女姿のマリアンヌ・フェイスフルと共に、ソニー・アンド・シェールの『アイ・ガット・ユー・ベイブ』をカヴァーしている。ボウイはこう語っている。「彼女は実際に女子修道院に通ってたからぴったりだと思った。唯一の心残りは、あの素晴らしいお尻がまったく映らなかったことだね」保守的だった番組側は、シスター・フェイスフルの後ろ姿を一切撮ろうとしなかったのだった。

Translation by Masaaki Yoshida

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