セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズが語る:「俺たちは破滅する運命だった」

ー彼が亡くなってからも、その存在の大きさを実感することはありましたか?

シドがバンドに加入したばかりの頃、やつが俺より目立ってたことには正直イラついていたけど、今となっちゃその理由がよく分かるんだ。やつはパンクを体現するような存在だったからな。ルックスや立ち振舞い、何もかもがパンクだったあいつは、最後には彼女を追ってこの世から旅立った。俺にはそんなことはできっこないからな。

ーあなたは彼のベースを所有しています。マルコムからニューヨーク・ドールズのシルヴェイン・シルヴェインのギターをもらった時は「さほど感傷的にはならなかった」と自伝で記していますが、シドのベースを譲り受けた時はいかがでしたか?

別に。買い手が見つかってないからまだ手元にあるってだけさ。

ー売る気なんですか?

いいや。すげぇ額を提示してきたやつが何人かいたけど、バチがあたったら嫌だからな。でもあのベースに特に思い入れがあるわけではないよ。


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ー『勝手にしやがれ!!』は今年、発表から40年という節目を迎えます。今あの作品を聴いて何を感じますか?

19歳か20歳のガキだったからこそ生み出せた奇妙なアルバム、ってところだな。自慢するわけじゃないが、今後もあの作品が色褪せることはないと思ってるよ。とにかくあれが唯一無二の作品ってことだけは確かだと思う。「レコード会社が喜びそうなヒット曲を書こう」なんて気は毛頭なかった。にもかかわらず、あのアルバムには一度聴いたら忘れられない瞬間がたくさんある。うまく言えないけど、とにかく奇妙なアルバムさ。今でも聴くたびに誇らしい気分になるよ。

音もすごくいいと思う。俺にとって、セックス・ピストルズのキャリアにおけるハイライトはアルバムのレコーディングだった。曲を録ってる時が一番楽しかったし、自分が最もクリエイティヴになれる場だって感じてた。ギターを始めてわずか1年だった俺に、クリス・トーマスは想像力を発揮する機会を与えてくれて、ビル・プライスがそれを最大限まで引き出してくれた。言葉にするのは難しいけど、あれが俗に言うマジックってやつなんじゃないかな。

ーあなたは自伝でこう綴っています。「セックス・ピストルズは燃え尽きるために生まれてきた。そして俺たちはその運命をまっとうした」バンドが短命のうちに終わると自覚したのはいつでしたか?

ビル・グランディのショーに出て、シドがバンドに加入した時だ。直感的に長くは続かないだろうと感じていた。そして予想どおり、俺たちはダークで狂った世界にどんどん踏み込んでいった。俺たちはみんなまだガキで、自分たちを取り巻く状況にどう対処していいかわからなかった。少なくとも俺はそうだったけど、メンバー全員同じだったと思うよ。

ーバンドが単なる見世物になってしまったと感じたのいつでしたか?

(グランディのショーに出演した後、)メインストリームのメディアの標的になった俺たちは、曲を書くことに対する情熱を失ってしまったんだ。

Translation by Masaaki Yoshida

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