全文翻訳|オバマ大統領、最後のスピーチ

(Photographer: Christopher Dilts/Bloomberg via Getty Images)


しかし我々はこれら全てを達成しました。国民の皆さんが成し遂げたのです。皆さんが"チェンジ"したのです。皆さんの一人ひとりが国民全体の幸せを考えたからこそ、ほとんど全てにおいてアメリカは建国時よりもいっそう素晴らしく強固な国になったのです。

10日後、自由選挙による大統領が平和的に政権交代するという、我々アメリカの素晴らしい民主政治を世界に示すこととなるでしょう。私は、ブッシュ前大統領が私にしてくれたように、私のスタッフが最大限円滑な引き継ぎを行うことをトランプ次期大統領に約束しました。国民が直面している多くの問題に政府が適切に対応できるかどうかは、我々全員にかかっています。

我々には必要なことは全て揃っています。何といっても我々は依然として世界で最も裕福で、最もパワフルで、最もリスペクトされる国なのです。我々には、若さと気力、多様性と寛大さ、リスク対応と改革への無限の可能性があり、即ち我々の未来は明るいということです。

ただし、我々がそれらの力を発揮するためには、我々の民主主義が正しく機能していなければなりません。さらに、支持政党や特定の利害にかかわらず国民全員が共通の目標を再認識できた時に初めて、アメリカ本来の力が出せるのです。今のアメリカには、共通目標の再認識が強く求められているのです。

今日ここで、我々の民主主義の状況を皆さんにお伝えしたいと思います。

まず、民主主義は統一性を必要としない、ということを理解してください。議論を重ねて方向性を見出した我々の建国の祖たちは、将来を担う今の我々にも同じようにして欲しいと願っていたことでしょう。しかし彼らは、民主主義にはベースとなる確固とした共通認識が必要である、ということを理解していました。外見は違っても我々は皆同じ目標に向かい、良い時も悪い時も共に乗り越えていく、という理念です。

これまでのアメリカの歴史上、その団結力が危うくなる時期もありました。今世紀の初めがそうでした。その時期は不平等が拡大し、世界が縮小していきました。人口構造が変化し、テロの脅威が高まりました。その状況は我々の安全や繁栄を脅かしただけでなく、民主主義をも危機に晒しました。それらの脅威から我々の民主主義を守るため、子供たちを教育し、十分な雇用を創出し、我が祖国を守る能力が試されています。

つまり、我々の未来が決まるということです。

我々の民主主義の前提には、「誰にもビジネス・チャンスがある」という認識が不可欠です。今日、景気がまた上向いています。賃金、収入、不動産価値、退職後の年金は上昇し、貧困率は再び低下しています。株式市場が記録的に暴落しても、富裕層は適切な税金を負担しています。失業率はこの10年の最低レベルを記録しています。無保険率も今後増えることはありません。医療費の上昇率も、この50年間で最も緩やかなものになっています。我々が推進し、多くの国民の医療費低下に貢献した医療保険制度改革よりも、もっと優れたプランがあるならば、私は喜んで支持しましょう。

政府の役割というのは、国民の皆さんの生活を後退させるのでなく、より良くすることなのです。

我々はさまざまな実績を上げてきましたが、それでもまだ十分ではありません。増加する中流階級を犠牲にして一部の富裕層だけが繁栄するような状況では、我々の理想とする景気の上昇や経済成長のスピードは期待できません。極端な不平等もまた、我々の民主主義の原則を崩します。改革前は、国民のわずか1%の層が大きな富と収入を独占し、都心の貧困地区や地方の多くの家族が置き去りにされてきました。日々の生活に窮している職を失った工員、ウェイトレスや医療従事者は、「どうせこれは出来レースで、政府は有力者の利益のためだけに機能しているのだ」と諦めています。これでは政府は無視され、分裂してしまいます。

Translation by Smokva Tokyo

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