伝説のドラムマシンTR-808が起こした、ポップス史における8つの革命

Photo by Courtesy of Atlantic Records

リック・ルービン、ディプロ、ファレル、ビースティ・ボーイズらが語る、TR-808がもたらした音楽革命とは?

もしRolandのドラムマシンTR-808がこの世に存在していなければ、現代のポップミュージックはまったく異なる様相を呈していたに違いない。日本が世界に誇るRolandが80年代にこの名器を世に送り出すと同時に、TR-808は急成長していたヒップホップとダンスミュージックの世界で絶大な支持を獲得しただけでなく、R&Bの新たなスタイルを生み出した。

今日、TR-808のサウンドはあらゆるタイプの音楽で使われている。「牛乳や水みたいなもんさ」Apple Musicで先日公開されたドキュメンタリーで、ボム・スクワッドのプロデューサーのハンク・ショックリーはそう語っている。「今じゃ808のサウンドなしでのビートメイキングは考えられない」彼はこう続ける。「ヒップホップに限らず、あらゆるレコードにおいて言えることだよ。何かが足りないと感じる時に、808のサウンドを入れてやると『これだ!』ってなるんだ。バラードでも同じさ。今じゃ808のサウンドは、ホットなトラックを生み出す上で欠かせない要素になってるんだよ」




本ドキュメンタリーのプロデュースを担当したアレックス・ノワイエは、今作でTR-808がポップス史にもたらした絶大な影響を描いてみせた。「私は今でも808は過小評価されていると感じているんだ」彼はローリングストーン誌にそう語っている。「ビートメイキングを語る上での合言葉みたいになっているけど、その深い歴史が十分に認知されているとは言えない。TR-808がいかにして生まれ、そのサウンドが生み出したレコードによって音楽シーンがどう変化したのか、その物語を多くの人に知ってもらいたかった。今となってはすっかりスタンダードになっている808は、文字どおり音楽の歴史を塗り替えたんだよ」

本作が裏付けるのは、TR-808があらゆるジャンルを生まれ変わらせたという事実だ。ビースティ・ボーイズ、ジャム・アンド・ルイス、フィル・コリンズ等のインタビューを収録した本作には、アフリカ・バンバータの名前を世に知らしめた1982年のシングル『プラネット・ロック』を手がけ、ホール・アンド・オーツやニュー・オーダーの作品に深く携わったアーサー・ベイカーが共同プロデューサーとしてクレジットされている。

本ドキュメンタリーとベイカーへの取材によって明らかになった、TR-808が起こした8つの革命を以下で紹介する。

Translation by Masaaki Yoshida

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