1970年代初期を代表する20曲

ジョージ・ハリスン 『マイ・スウィート・ロード』(1970)
(原題:My Sweet Lord)


1970年の前半は、ザ・ビートルズの『レット・イット・ビー(原題:Let It Be)』が話題をさらったが、その年の12月、ジョージ・ハリスンは『マイ・スウィート・ロード』で頂点を目指した。ハリスンは、ハーレー・クリシュナ教のマントラとキリスト教の賛美歌『オー・ハッピー・デイ』の組み合わせにブルージーなスライド・ギターを乗せ、“ウォール・オブ・サウンド”と称されるフィル・スペクターの素晴らしい音作りによって、万人受けする究極のポップ・ミュージックが完成した。この曲はアメリカの地方裁判所で、シフォンズ(アメリカの女性ポップ・グループ)がカヴァーしたヒット曲『イカした彼(原題:He’s So Fine)』に酷似していると判断されている。ジョン・レノンはローリングストーン誌のインタヴューで、「ラジオをつけるたびに“オー、マイ・ロード”と歌うのが聴こえてくる。本当に神がいるんじゃないかと思い始めたよ」と語っている。

デレク・アンド・ザ・ドミノス 『いとしのレイラ』(1970)
(原題:Layla)


60年代、ギター・ヒーローのエリック・クラプトンは、スーパーグループからスーパーグループへと渡り歩いた。その後彼は自分の方向性にマッチしたタイトで情熱的なバンドを組み、ブルーズへ回帰すると共に新たな時代を切り開いた。親友ジョージ・ハリスンの妻(当時)だったパティ・ボイドへの報われぬ愛は、彼のキャリアの中で最も情熱的なパフォーマンスへとつながった。

グレイトフル・デッド 『アンクル・ジョンズ・バンド』(1970年)
(原題:Uncle John’s Band)


70年代、ポップ・ミュージックのヒットを左右する大衆が聴くラジオ放送の主流がAMからFMへと移っていった。ヒッピーやその同調者たちは徐々に独立系のFM局に夢中になっていったようで、不思議なことにセピア色のジャケットが印象的なアルバム『ワーキングマンズ・デッド』のオープニングを飾るこの曲のようなアンダーグラウンドでのヒット曲が、世の中にほとんどなくなっていった。この曲でグレイトフル・デッドは卓越したハーモニーを聴かせている。作詞を担当したロバート・ハンターによると、「アンクル・ジョンのバンドへおいで」という歌詞は、「時代の一体感による甘い誘惑」だと言う。“Goddamn”という言葉が歌詞に使われていたためにオンエアを規制されたが、それはただアンダーグラウンドに広まる陰謀論を確信に変えただけだった。

Translation by Smokva Tokyo

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