大統領選翌日のオバマ大統領最後のインタヴュー:トランプの勝利、これからの自分

ー移民制度改革についてお聞かせください。今後どのようになっていくのでしょうか? 

今回の大統領選の結果とは関係なく、ラテンアメリカ系やアジア系の多くの有権者を遠ざけるのは得策でないと考える共和党員もいる。そして理に適った方法で解決したいという利己心が生まれる。民主党や移民の権利を守る活動家にとって、「大多数のアメリカ人は"国境は重要だ"と認識している」ということを理解しておく必要がある。前にも述べた通り、我々の移民のルーツを尊重するための法秩序と価値観が必要である。法と価値観は両立させなければならないが、かつては移民に対して寛容な時代もあり、秩序的かつ合法に処理する方法に対して適切に取り組んでこなかった。「移民は合法で秩序的なものである」と国民に正しく認識させるのを疎かにしがちである。つまり、将来的には包括的な移民制度改革ができる可能性がある、ということだ。

この2年或いは4年、さらにその先の4年の間に改革が進むとは思えない。しかし我々は、法に沿った移民制度に関して我々が進めてきたことをベースに、賢い改革を行うことができる。国境に関してメキシコと協力することで、主に中央アメリカから我が国へ押し寄せる移民を人道的に扱うことができる。そして、ホンデュラス、エルサルバドル、グアテマラへの賢い投資を続けることが各国の国民に幸せをもたらす、ということをトランプ次期大統領とも共有したい。

ー今や西海岸では大麻を合法的に入手できるようになりました。しかしなぜ今なおドラッグ戦争は終わらないのでしょうか? 大きな失策に思えます。なぜ今もこの問題が解決せず、大麻をスケジュールI薬物に指定したままなのでしょうか? 

薬物乱用を抑制しなければならない、という私の信念は明らかだ。それに大麻の合法化がこの問題の特効薬となるとは考えていない。この問題は、タバコやアルコール同様、公衆衛生の課題として捉えるのがより賢いやり方だと考えている。薬物の分類方法の変更は通常、大統領命令で行うものではなく、議会や麻薬取締局(DEA)が行う。知っての通り、伝統的に薬物取締法を執行するDEAは、規制緩和に対して常に柔軟という訳ではない。

ー(笑)大統領自身はどうですか? 流行の最先端を行き、柔軟な姿勢を取りますか? 

今の私はレームダック状態だ。間もなく一市民として、アメリカはどうあるべきか、という内容の著書を執筆しようと考えている。カリフォルニア州をはじめ住民投票で大麻が合法化されていき、ある州では合法で、また別の州では20年の実刑という状況の中、司法省やDEAが根拠とする法律にも矛盾が出てくる。これは私がビル・マーの番組に出演して同じ質問を受けた時にも同様の回答をした。同性婚の問題と同様、これも議論が進んでいる。アメリカ全土が民主主義の実験場となる革新的なアプローチといえる。今は全米の約5分の1で合法化されている。

ーあなたは同性婚の合法化を宣言し、推し進めました。

いいや。そういうことではない。思い出して欲しいが、最初はとてもシステマチックに始まった。私はまず同性パートナーによる病院での面会に関する法律を改正した。その後私は、"don’t ask, don’t tell(ゲイであるかどうかの確認行為や、ゲイであることを公表することを禁じた規制)"の撤廃を国防総省に検討させ、その後統合参謀本部も了承し、最終的に撤廃した。そして、カリフォルニア州でProposition 8(同性婚を認めない法律)に反対する裁判が起こされた。その後多くの準備がなされ、今に至る。

ーでは今は準備段階ですか? 

今回のような結果となった選挙後、我々のような進歩主義者は「一挙両得はあり得ない」ことを反省しなければならない。「我々の対抗勢力に投票した人々と理解し合おう」とか「進歩主義者や海岸沿いの都会に住む人々が"すぐにやるべき"と考えていることに全精力を注ぎ込もう」とはもはや言えない。アメリカのような多種多様の大国では、エンドゾーンへの一か八かのロングパスではなく、全体的に地道に推し進めることが求められるのだ。

Translation by Smokva Tokyo

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