2016年の人気洋楽アルバム・ベスト10

ビヨンセ『レモネード』、レディオヘッド『ア・ムーン・シェイプド・プール』、デヴィッド・ボウイ『ブラックスター』、本誌読者が選出した2016年を代表するアルバム10枚(Photo by Larry Busacca/PW/WireImage For Parkwood Entertainment , Barry Brecheisen/WireImage)

レディオヘッド『ア・ムーン・シェイプド・プール』から、ビヨンセ『レモネード』、フランク・オーシャン『ブロンド』まで、ローリングストーン誌の読者投票によって選出された今年のベストアルバム10枚を公開。

政治問題を抜きにしても、2016年は悲惨な年だった。新年早々にデヴィッド・ボウイがこの世を去って以来、偉大なアーティストたちが次々と彼の後を追った。プリンス、グレン・フライ、レナード・コーエン、レオン・ラッセル、シャロン・ジョーンズらをはじめ、私たちはこの12ヶ月間で数多くの才能を失った。異常ともとれるペースで届く訃報に、人々はもはや驚かなくなってしまっていたほどだ。しかし幸運にも、そんな暗いムードを忘れさせてくれる素晴らしい作品が、今年も数多く発表された。その中には死の間際に産み落とされた、文字どおり命を賭けた作品もある。本誌読者投票によって選出された、今年のベストアルバム10枚を発表する。

10位 イギー・ポップ『ポスト・ポップ・ディプレッション』
(原題:Iggy Pop, ’Post Pop Depression’)

イギー・ポップは近年、2003年に再結成されたストゥージズとしての活動に、持てる時間と労力のほとんどを費やしていた。しかし今年、彼はストゥージズの終焉を宣言し、ソロとしてのキャリアを本格的に再始動させた。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムをパートナーに迎えたポップは、待望の新作『ポスト・ポップ・ディプレッション』を完成させた。「俺は誰かと一緒のほうが力を発揮しやすいんだよ」ポップはローリングストーン誌にそう語っている。「自分の可能性を押し広げられるからな。『そう来たか、ならこれでどうだ』みたいな感じでさ」そうして誕生した今作は、70年代にポップがボウイと作り上げた名作を彷彿とさせる。本作を引っ提げて行われたツアーには、オムもバンドのメンバーとして同行した。同ツアーのセットリストは、本作とボウイがプロデュースしたアルバムからの曲のみで構成され、両者は驚くほど違和感なく共存していた。

Translation by Masaaki Yoshida

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