非合法化から50年 LSDの今:サイケデリック・ルネサンスはLSDをどう変えたのか

(Photo by mark peterson/Corbis via Getty Images)


合法化が未経験者を危険に晒す

より安全なマリファナの代用品で、深刻な健康被害をもたらす合成マリファナ「スパイス」のように、現在のサイケデリック・シーンはLSDを偽装した危険な代用品が溢れている。60年代以降、LSD未経験者は合法またはグレーゾーンのドラッグを求め、純度も低めのLSDが出回ってきた。ところが最近のドラッグは危険なものが横行し、場合によっては命にかかわるものさえある。"人工LSD"とよく誤解される「2Ci-NBOMe」は合成ドラッグに一般的に使用される化学物質で、ある研究によると、微量の摂取は問題ないが、LSDと違い、摂取量を誤ると死に至る場合もあるという。「苦いと感じたら吐き出せ」というサイケデリックな格言もできるほど、純粋なLSDと比べて合成ドラッグは危険なものである。

LSD合法化を求める動き

LSDはアメリカ人の生活と密接な関係を保ってきた。MAPSのようにLSDを推進する組織は、サイケデリック・セラピーのフレームワークを確立し、心理学者のティモシー・リアリーなどは、合法化へ向けた論争を長年に渡り繰り広げた。しかしドラッグ・ポリシー・アライアンスのジャグ・デイヴィスは、合法化を求める運動には、より直接的なアプローチが有効だと説く。事実、保守的なサウスカロライナ州でさえ、予備選有権者の約59%がドラッグ所有の完全合法化に賛成している。

「LSDの使用者が犯罪者である、とする正当な理由はない。特に、犯罪問題でなく健康問題として取り組もうという政治と科学分野での現在のコンセンサスも、間違っている」とデイヴィスは主張している。LSDはポルトガルをはじめヨーロッパの国々では、10年以上に渡り非犯罪化されている。アメリカで合法化される日も思ったほど遠くないかもしれない。「サイケデリック・セラピーが合法化されれば、LSD使用者のほとんどが、政府認可の医療施設の管理下で使用する必要がなくなる」。

オバマ政権の見せたLSDに対する寛容な方針は継続するか

「非暴力犯罪者は刑務所制度の対象外とすべき」という考え方はオバマ大統領にも受け入れられた。オバマ政権は約700名の非暴力犯罪者に恩赦を与えたが、これは50年代以降のすべての大統領が与えた恩赦を合わせた数をも上回る人数だった。2016年8月、デッドヘッズ(グレイトフル・デッドの熱狂的ファン)で末端のドラッグディーラーだったティモシー・タイラーが、LSD関連の受刑者として初めて恩赦の対象となった。精神疾患を抱えた彼は、麻薬戦争真っただ中に制定された法律に基づき、1992年に終身刑2回を言い渡されていた。

2018年8月の仮釈放へ向け、タイラーは現在、4ヵ月間の更生施設生活に続く9ヵ月間の薬物リハビリプログラムを受ける準備をしている。「これは夢じゃないかと今でも時々思うんだ」と、大統領命令によりついに市民生活へと戻ることとなったタイラーは、ローリングストーン誌の取材に答えている。「恩赦なんて俺には縁のない世界のことだと思っていたからね」。

「ラヴ・ページェント・ラリー」や最初のLSD取締法から約半世紀が経ち、"マッシュルーム"・ボブ・ライリー、有名な化学者レナード・ピッカードやクライド・アパーソンなど、長期刑を受けて今なお刑務所で暮らすLSD関連犯罪者がいる。LSD関連で終身刑を受けたロデリック・"ラッド"・ウォーカーは2014年、刑務所で死去した。以前のLSD受刑者たち同様、麻薬戦争に影響を与えたティモシー・タイラーは、ラヴ・ページェント・ラリーに参加したグレイトフル・デッドの曲名を引用し、「俺は"犠牲者なのか犯罪者なのか(Victim Or The Crime )"」と自問している。

1966年から現在までLSDを含む幻覚剤は非合法状態が続いているが、その法律のせいで危険ドラッグの使用が広まり、ドラッグ常用者たちはLSDの代用品として脱法ドラッグを探し求めている。デジタル時代の急速な進化とダークネットの出現によって状況はより複雑化し、危険な代用品も急増した。アメリカの歴史においてLSDは、変化しながらも存在を続け、常にクリエイティブでスピリチュアルな覚醒の中心にある。LSD非合法化の50周年は、ラヴ・ページェント・ラリーが祝ったサイケデリック・カルチャーの50周年記念ともいえる。

Translation by Smokva Tokyo

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