ガンズ・アンド・ローゼズ『ユーズ・ユア・イリュージョン I &Ⅱ』:ロック史における金字塔の制作秘話

バンドとしての絆が崩壊に向かう中、世界を揺るがした『ユーズ・ユア・イリュージョン I &Ⅱ』その誕生秘話とは(Photo by Kevin Mazur/WireImage)


ガンズ・アンド・ローゼズのハードなイメージを守るために『アペタイト』への収録が見送られていたローズによるバラードは、紛れもなくアルバムのハイライトのひとつだ。『ドント・クライ』はローズがバンド結成後に書いた最初の曲だという。「あれはイジーの元カノについての曲なんだ」ローズはそう話している。「俺は当時から彼女のことがすごく気になってた。2人はその後破局を迎えて、俺はロキシーの外で彼女に自分の思いを伝えたんだけど、彼女は俺たちがうまくいかないことを知ってた。自分の道を進むために別れを告げた彼女を前に、俺はただ座り込んで涙を流した。そんな俺を前に彼女がこう言ったんだ。『ドント・クライ』ってね。その翌日にメンバーとスタジオに入った俺は、たった5分であの曲を完成させたんだ」

結果的に『ドント・クライ』は歌詞が異なるバージョンが、『ユーズ・ユア・イリュージョン』の両ディスクにそれぞれ収録される形となった。ディスク1にはローズの経験に基づいたオリジナル・バージョン、そしてディスク2には失恋の痛みが生々しく綴られるオルタナティブ・バージョンが収録されている。「俺は後者の方が気に入ってるんだ。オリジナルは俺にとってあまりにリアルだから」ローズは後にそう語っている。

1986年頃からローズが温めていたもうひとつのバラード、それが『ノーヴェンバー・レイン』だった。1988年のローリングストーン誌のインタビューで、ローズは同曲への強い思い入れをこのように表現している。「あの曲をイメージどおりに録れなかったら、俺はこの世界から引退するよ」彼は後に「『ノーヴェンバー・レイン』は、報われない思いにとらわれてしまいたくないという願いを歌った曲」と話している。『イリュージョン』のレコーディング・セッションが開始するまでに、バンドはギターとピアノだけで同曲のデモバージョン(中には18分に及ぶものもあった)を録っていたが、ローズはスタジオで同曲を慎重に磨き上げていき、キーボードを駆使した壮大なシンフォニーを書きあげた。

「あの曲のドラムパートはエルトン・ジョンの作風にインスパイアされているんだ」ソーラムはそう話す。「アクセルと一緒に(エルトン・ジョンの)『僕の瞳に小さな太陽』をじっくり聴き込んだ。2人でタムのフィルについて話し合った時のことは、今でもはっきり覚えてるよ」

アップテンポな『ザ・ガーデン』におけるスポークンワードのパートは、バンドと親交の深いアリス・クーパーが担当している。彼は1986年のナイトメア・リターンズ・ツアーにバンドを同行させたほか、1988年に再レコーディングされた『アンダー・マイ・ホイールズ』にローズとスラッシュ、そしてストラドリンの3人を参加させている。その数年後、ローズは真夜中の2時にクーパーに電話をかけ、アルバムへの参加を依頼したという。

「俺は仕事はサクッと片付けるタチなんだ」クーパーはそう話す。「アクセルがこだわり屋なのは知ってたけど、優れたヴォーカリストなら1時間もあればまともな歌が録れるはずなんだよ。だから彼にこう言ったんだ。『明日の7時なら少し時間が取れる。1時間で片付けよう』結局俺は2テイク録った。彼がいつもどれくらい録ってるのか知らないけど、俺のテイクは文句ナシだった」

Translation by Masaaki Yoshida

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