トランプ政権は、女性にとって苦難の4年間となる

2016年の大統領選は、女性に対する暴力に対してアメリカ国民がどれだけ寛容かを量る選挙だった。共和党の男性党員がヒラリーに対して放った言葉の暴力。そしてトランプが“有名人だから何でもできる”として笑い飛ばした女性たちへの暴力。最終的に大部分のアメリカ国民はそれらを許し、トランプへ投票した。

トランプの暴力を許さなかった国民は、これからの4年間に備えなければならない。選挙活動中にトランプを支援していた取り巻きの男性たちが閣僚になるとすれば、この4年間の状況はさらに悪化するだろう。

トランプの最初の選挙参謀だったコーリー・ルワンドウスキは、トランプに質問を試みた女性記者の腕をねじ上げて排除しようとしたとして告発された。女性記者の上司であるブライトバートのCEOスティーヴ・バノンは、映像による証拠があったにもかかわらず、部下である女性記者の主張を支持しなかった。それから数ヵ月後、バノンはルワンドウスキに代わってトランプ陣営の選挙責任者となった。バノンは、元妻への暴力や元従業員に対するセクハラで訴えられている。2016年夏に、20名以上の女性に対するセクハラや職権乱用により解雇されたFoxニュースの前CEOロジャー・エイルズも、トランプの選挙活動をずっと支援してきた。

副大統領候補としてトランプは、「レイプ」という言葉をすり替え、米国家族計画連盟への資金援助を制限しようとした男を選んだ。次期副大統領となったペンスによる当時の法制化は失敗したが、ネット上にはこれに関連して、ミズーリ州選出のトッド・エイキン元下院議員によるひどい発言が残っている。エイキンは、「真のレイプ被害者は妊娠しないので、中絶などの心配をする必要がない。真のレイプであれば女性の体は拒絶して妊娠しないようになっている」などと発言している。

当時のエイキンの広報を担当していたのは他ならぬケリーアン・コンウェイで、彼女は2016年、トランプの選挙参謀の一員として加わった女性である。「女性が男性と生理学的に同等の力を持っていれば、レイプなど起こり得ない」と主張するコンウェイは、トランプ陣営にぴったりフィットした。

トランプが無意識に発する女性蔑視のコメントやジョークのほか、女性差別発言を「ただのエロトーク」と受け流す態度は、政策決定にも影響するだろう。具体的にはわからないが、予想はできる。自己負担なしの出産制限や家庭内暴力のカウンセリングも含んだオバマケアの廃止をトランプは主張しているが、これは4700万人のアメリカの女性に影響する。トランプはまた、人工妊娠中絶の禁止も主張し、中絶した女性は罰せられるべきだ、とも言っている。彼の大義名分は、キャンパス内の性的暴力なども規制する教育改正法第9編(Title IX)の効力を弱めてしまう、とレイプ被害者の支援者たちは懸念している。

トランプは選挙活動中、実に多くの嘘をついてきた。中でもたびたび繰り返された口癖が、「国民は女性のことなど気にしていない。皆の関心は私の方にある」というものだった。彼が女性をまったく尊敬する対象として見ていないのは明らかである。そして彼に投票した42%の女性たちも、きっと同じ考えなのだろう。

選挙活動中、自分のセクハラ行為を自慢するドナルド・トランプ。

Translation by Smokva Tokyo

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