イギー・ポップの軌跡:未公開写真で綴る高校時代からストゥージズ結成の瞬間まで

1968年頃のストゥージズ

(c) Steve Bober 7/15

1968年4月、アナーバー兵器工場で行われたストゥージズのライブで、イギーは写真の「白塗りメイク」で登場した。「これは俺がフロントマンを務めるようになってすぐの頃の写真だ。この時からギターはロンに任せるようになった」ポップは写真に目をやりながらそう話す。「裸足だし、髪型も酷いな。長髪だった俺はクールにしたくてパーマをあてたんだけど、髪がこんなに縮むなんて知らなかったんだよ。眉毛は剃ったんじゃなくて、もともとなかったんだ。20分っていう短いライブだったけど、悪くなかったと思う」

トウモロコシ畑の少年たち

Robert Matheu Collection

「人がどう思うかはわからないけど、この写真はニルヴァーナっぽいと俺は思ってるんだ。撮影されたのは1968年だけどな」彼らの家の裏にあったトウモロコシ畑で撮影されたこの写真について、ポップはそう語っている。「服装もそうだけど、不敵な佇まいが似てると思う。アシュトン兄弟っていう、常に狂気と隣り合わせだったミュージシャンを擁していたっていう点も共通してる。2人が常軌を逸した存在だってことを理解して初めて、俺はバンドに貢献できるようになったんだ。ストゥージズの音楽はやつらが演奏しないと何の意味もないんだよ。多くのミュージシャンと同じように、俺だって狂気の世界を垣間見ることはあるけど、あの2人は別次元だった。やつらがステージ上でトランス状態にある時、その熱狂はフロアのオーディエンスに伝染するんだ」

1968年9月当時のイギー・ポップ

(c) Leni Sinclair

フットボールシャツに身を包んだイギー・ポップのこの写真が撮影された1968年の秋、ストゥージズはエレクトラとレコード契約を交わした。「この頃には俺がバンドを仕切るようになっていた。独裁的ではなかったけどね」彼はそう語っている。「『ガチでキマった状態でライブしているようじゃダメだ』って、俺が言わないといけなかった。あとマリファナや食い物の調達も基本的に俺の役目だった。ロンが担当することもあったけど、スコットやデイヴが進んでやってくれることはほとんどなかったな」

Translation by Masaaki Yoshida

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