未成年者が性的写真を送る「セクスティング」は犯罪か?

米アイオワ州の14歳の少女が、性的な写真を携帯電話で送信したことで性的搾取の罪に問われているが、このことは決して稀なケースではない。Mario Antonio Pena Zapatería/FLICKR

全米で議論が沸騰している「セクスティング」。ティーンエイジャーが自身の性的な写真を他の未成年者に送ることで、重罪に問われているアメリカの現状とは?

2016年9月末に米アイオワ州の地元紙、デモイン・レジスターが、他の生徒に自らの性的な写真を送ったティーンエイジャーの少女に対して、郡検察官が未成年性的搾取罪の罪に問う恐れがあることを報じた。問題となっているのは、14歳のナンシー・ドウが送った、下着にスポーツブラ姿の写真と、下着にトップレスで胸を髪の毛で隠している写真で、ナンシー側は無罪を主張し訴訟を起こしている。少年裁判所で有罪判決が下った場合、ナンシーは性犯罪者として登録されることになる。

ティーンエイジャーが、裸ですらない写真をセクスティング(性的写真を携帯電話で送信すること:Sexting=sexとtextingの混成語)したことで起訴される可能性があるという状況に、私たちが衝撃を受けるのは当然だろう。しかし、ティーンエイジャーが、セクスティングや自分の写真を送信するだけで罪を問われるのは、それほど稀なことではないのだ。不合理、残酷であるように思えるこの状況は、私たちが文化的な問題を対処するために、刑事司法制度を当てにしすぎるが故に起きているのだ。

今回の訴訟の始まりは、アイオア州マリオン郡にあるノックスビル高校で、25人もの生徒がセミヌード、ヌード、あるいはヌード姿の写真に写る性器を絵文字で隠した写真を送りあっていたことが発覚した、2016年3月に遡る。生徒たちはそれらの写真を、計算機に見せ掛けた携帯電話のアプリの中に隠し持っていたという。この事実は、2人の生徒が学校の図書館で、それらの写真を印刷しようとしていたことで明るみに出た。

そこで警察が捜査に乗り出し、マリオン郡法務長官のエド・ブルが、セクスティングの罪に問われているティーンエイジャーを少年事件として処分するのではなく、セクスティングの危険を学ぶコースを受講させ、自らの行動の誤りを認識させるという、ダイバージョン・プログラムを設置した。

一方のナンシーと彼女の両親は、送信した写真がそれほど問題となる内容でないために、プログラムに参加する必要がないと主張し、ブル氏が起訴することを阻止するために連邦裁判所に訴訟を起こした。ナンシー側は、写真には性的搾取やポルノに引っかかる内容のものが含まれておらず、ナンシーをダイバージョン・プログラムに参加させることは、彼女の両親の娘を育てるという権利、ナンシーの米憲法修正第1条で保障された表現の自由を侵害すると主張している。

ナンシー側は、写真がアイオア州法のいかなる法律に違反していないと説得力のある主張をしている。ここで問題なのは、検察官側が司法取引に応じさせるために、常に異常に厳しい罪を追及するという点だ。そして、今回のアイオア州の検察官には、非常に漠然とした法律を解釈する方法がある。過去にアイオア州が、ヌード写真を携帯電話で送信したティーンエイジャーらに有罪判決を下したように、アイオア州法は、ナンシーが写真の送り相手の未成年者を禁止された性行為に"誘惑"していたと主張ができるほど、曖昧なものなのだ。

一般的に、刑事責任や少年犯罪に問われた場合の唯一の選択肢は、罪を認め司法取引に応じるか、罪に対して法廷で争うかのどちらかだ。そんな中、2010年のペンシルベニア州ワイオミング郡で発生したナンシーの件と非常に類似した事件では、下着姿の写真を撮影した3人の少女に対して、保護観察、教育コース、自分たちの行動ががなぜ「軽率」な行動だったかを考えるエッセイを含むダイバージョン・プログラムを受けない場合、罪に問うと脅した検察官に、控訴裁判所が一時的接近禁止命令を出すという出来事があった。問題の検察官は、少女たちが自分たちを守るために必要な判断だったと反論したが、裁判所は、脅かされた起訴は、少女たちの憲法上の権利の行使に対する報復だと判断したのだ。

Translation by Miori Aien

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