イギー・ポップとジム・ジャームッシュ監督が語る、ストゥージズのドキュメンタリー映画

「本当に才能のある監督に、俺たちのドキュメンタリーを撮って欲しいと思ってた」イギー・ポップが語る、インディー映画界の鬼才ジム・ジャームッシュとのコラボレーション。 (C) Danny Fields c/o Gilliam McCain


ー既にこの世を去った多くの友人が出演している本作は、あなたにとっても重要な意味を持っていると思います。

ポップ:そうだな。映画は今のところ2回しか観てないよ。今はツアー中で、3日後には南米ツアーが始まるからな。それが終わってデトロイトに戻ったら、改めて映画館で客と一緒に観るつもりだよ。初めて観た時はちょっと動揺したけどな。「何てこった!これうちのオカンの家じゃねぇか!何でこんなの使うんだ!」みたいなさ(笑)でもすぐその趣旨を理解したよ。全員が自分らしくあることっていうのは、俺が希望したことだからな。彼は彼らしく、俺は俺らしくってことだよ。出演してくれたキャシー(・アシュトン)もすごく自然だ。でもって物語が進むにつれて、エキサイティングなシーンやユーモラスな場面も出てくるんだ。カラヴァッジョの顔をのせた棒人間とか、映画に出てくるアニメーションもいい味を出してて、物語を彩ってくれてると思う。マーロン・ブランドやエルヴィス、ルシル・ボールのキャラクターなんかも登場するんだ。

ーストゥージズのオリジナルメンバーとしては、あなたが最後の1人となってしまいました。

ポップ:80までは生きてぇな(笑)こういう言い方なら、あんまり感傷的には聞こえないだろうからな。でも本当は寂しく思ってるよ。『デリア』っていう曲の歌詞に「友人たちはみんな俺の元を去っていった」っていう一節があるんだ。2005年には長年俺のマネージャーを務めてくれたアート・コリンズが旅立った。2007年には俺の父親、そして2009年にはロンが逝っちまった。(ストゥージズでサックスを吹いた)スティーヴ(・マッケイ)は2015年にこの世を去った。そして(2014年には)スコットも失った。30年間パートナー関係にあった俺のビジネスマネージャーも、スコットが亡くなった数ヶ月後にこの世を去った。そして今年には、ストゥージズ解散前の3年間に深い関係を築いたデヴィッド・ボウイが旅立ってしまった。

その影響は少なからず感じてるよ。行ったり来たりするそれが何なのかは、俺にもまだよくわかってないけどな。死ぬ前にやっておくべきことが、俺にはまだあると思うんだよ。しぶとく生きながらえるなら、それだけの価値がある何かを残すべきだからな。

ロンが亡くなった後に、やつの夢を見たんだ。夢の中のやつは一切動かず、一言も発しなかった。『フレンチ・コネクション』のフェルナンド・レイみたいに、ただミステリアスに佇んでたんだよ。スコットを失った時は、胸にぽっかり穴が開いたように感じてた。やつはヘビさえも言いなりにしてしまうようなフェロモンの持ち主でありながら、返す気もないくせに人から50ドル借りて全部酒につぎ込んでしまうようなやつだったからな。何をされても決して憎めない愛すべきキャラクター、スコットはそういう存在だったんだよ。

ーあなたとジェームズ・ウィリアムソンが、ストゥージズとしてステージに立つことはもうないのでしょうか?

ポップ:俺たちにその気はないよ。マイク(・ワット)と、俺が長年一緒にやってるドラマーのラリー・マリンズと一緒に、不定期ながら3年くらいストゥージズとしてやってきた理由のひとつは、スコットという存在が大きかったからなんだよ。たとえステージに立てなくても、スコットはいつだってストゥージズの一部だった。そのやつがこの世にいない今、ストゥージズとして活動する意味はもうないんだよ。陳腐に聞こえるかもしれないが、俺はふりだしに戻ったように感じてるんだよ。だが実際には俺は螺旋階段を歩いていて、違いは登ってくか下ってくかだけなんだ。スコットがいた頃は「またかよ、もうウンザリだ。電話に出ないとぶっ殺すって何度脅されりゃ気が済むんだ?」みたいな感じだった(笑)でも俺たちは螺旋階段を登り、今はそれぞれ他にやるべきことがある。ストゥージズの音楽は多くの人に愛されたし、それはこれからも変わらない。俺たちの苦労は報われたんだよ。

俺たちはやるべきことをやってきたと思ってる。おかげで「昼飯代さえ出してくれりゃ何でもやる」みたいな、一文無しの年寄りにならずに済んだ。だからこそ、俺たちの音楽をファンに届けることには責任を感じてる。バンドの第1期と2期のライブ映像の中には、まぁまぁの出来のものもある。ストゥージズのファンにとって、今回の映画は宝物になるはずさ。

Translation by Masaaki Yoshida

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